マイナス金利はバズーカではなく「紙鉄砲」だ 量的緩和ではもはや、個人も企業も踊らない

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マイナス金利導入の発表後、日本国債の利回りは右肩下がりとなった。これは金融機関が貸し出しを増やすのは難しく、ひとまず国債購入に走っているからだ。銀行の中には預金金利引き下げの動きも出ているが、マイナス金利が期待どおりの効果を生み出すのは難しいだろう。

「三本の矢」を適切に放つしかない

では、どうすべきか。重要なのは安倍晋三首相と黒田総裁のチームが、従来の約束を実行すること、すなわち金融政策、財政政策、構造改革というアベノミクスの3本の矢を、適切に実施することしかない。

日銀は国債購入を継続すべきだろう。それが2本目の矢である財政政策の後押しになる。日本の財政政策をめぐっては、政府による地方向けの選挙対策だとの批判も根強いが、購買力の増大や生産能力の拡充につながるものも多々ある。その中で最優先されるべきは、高校教育の無償化だ。

ただ、2017年4月に予定されている消費税率の引き上げは、実質賃金の着実な増加などによって実体経済が上向く明確な兆しが見られるまでは先送りすべきだ。

金融政策、財政政策、そして生産性を向上させる構造改革の3つがそろわなければ、すべての施策は無に帰しかねない。

週刊東洋経済2月27日号

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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