絶好調「MUJI」は、中国で"成長加速"に挑む トップが明かす世界戦略の中身

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――中国で出店スピードを上げていく体制が整ったということですか。

そうだ。そもそも、2014年から2016年までの中期計画を作った時、私は2年目から50店舗をやろう、という計画だった。ところが、1年目の終了間際で店舗を回ると、店長や副店長のいない店があった。これはよくないなと。会社と店舗で指揮官がいない、統率者のいない組織というのは、あり得ない。人材の育成が追い付いていなかったのだ。

そこで人事制度を作り、店長や副店長を必ず配置することを最優先でやり、人材育成を強化していった。中国では基本的に日本人の店長、副店長は1人もいない。全部現地だ。入社して、店長や副店長になるまで、3年ぐらいかかる。ちょうど2012年から定時採用をしたので、その人たちが育って、店長や副店長になるところまで来た。2017年以降は年間50店舗出店しても人材はいる。

ビルの2階、3階に店を出す

松崎 暁(まつざき さとる)/1954年生まれ。78年西友ストアー(現西友)入社。2005年良品計画入社。執行役員・海外事業部中国担当部長、専務・海外事業部長などを経て、15年5月より現職。海外拡大の牽引役であり、年間200日海外出張をしていた

――出店場所の確保に関しては大丈夫ですか。

幸いにもデベロッパーからの評価は高く、MUJIは売れるぞということで、出店オファーは圧倒的に多い。さらに最近では、中国でネット販売が大きく増える中、デベロッパーは生活体験型のショップを入れないと、お客様を呼び込めない事情もある。飲食・サービスのウエイトが非常に高まっている一方で、単なる物販のテナントを抑え始めている。

MUJIは生活体験型ショップとして、ネットの時代でもお客さまを呼べるという評価が、中国のデベロッパーの中で出ている。ベッドやソファーなどは、実際に座って体験をしないと、購入しないからだ。今の時代、私どもにウエルカムコールは非常に強い。

日本では、1階にルイ・ヴィトンがあるところには、絶対出られない。でも中国では結構出ている。ただ、私どもは、賃料の高い所には出ない。基本的に1店舗、1店舗で黒字というのが、海外事業の戦略の一つだ。だから1階の1等地には出ない。そのビルの2階、3階に出ていく。今、中国ではハイエンドのブランドが大変な状況だから、我々が1階に出られるケースが非常に高くなっていることも追い風だ。

――国内外で価格差はまだ大きいです。

海外が日本より(物価が)高いのは確かだ。中国だけでなく、全世界で価格を常に下げている。2015年も、8月、12月、そして2016年1月に、価格の見直しをした。MUJIは1980年、「わけあって、安い」というキャッチフレーズでマーケットに出たので、価格合理性は非常に大事にしている。衣服・雑貨の世界戦略商品では、日本の20%高以内に抑えている。

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