絶好調「MUJI」は、中国で"成長加速"に挑む トップが明かす世界戦略の中身

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2015年12月にオープンした、世界旗艦店である中国・上海店。食品の売上高構成比が伸びている

――日本と中国で売れるものに違いはありますか。

アロマディフューザー、体にフィットするソファなど、日本で売れているものが中国でも売れている。私どもは全世界の統一品でそろえ、効率化を目指している。この国はこういう品ぞろえでやるとなると、物流センターや取引先から出す量が変わってしまう。それよりも同じ品ぞろえにしていくほうが効率性は高い。ただし各国の規制もある。たとえば食品は、中国では規制が厳しくて、なかなか入らない、あと電気製品は、ボルテージが違うとか、そういうことで輸入できず、欠落するものがある。基本的に日本と同じ品ぞろえを前提にしている。

――それでも海外では食品の品ぞろえが不足しています。

東日本震災以降、中国では、日本の特定の都道府県のものについては、原産地証明などいろいろ規制が厳しくなり、アイテムは減っていた。だが、2015年12月に上海で世界旗艦店がオープンし、みんなでがんばり、食品を150アイテムまで拡大した。

上海の旗艦店では、食品の売上高構成比が14%に上り、すごい大きな可能性があると感じている。衣料雑貨などを含め、全部で4500アイテムぐらいある中で、この売上高構成比は非常に高い。中国で現地生産に切り替えたものもあるが、品質は日本と同じように良品計画基準という、我々の企画をクリアした商品。中国で作ろうが、やはり日本品質、良品計画の基準ということで、高い支持を受けている。安心・安全の日本食に対する中国人の支持が圧倒的に高いということだ。

――欧州は不採算店を閉めるなど再建中です。うまくいっている中国との違いは何でしょうか。

一番言えることは、システムがまったく違うこと。中国はなぜこれだけ成功したかというのは、確かに大きなマーケットもあるが、2010年に商品勘定システムと物流システムを、日本の良品計画と同じ仕組みでビジネスができるよう、中国に持って行ったことがある。ところが欧州では、スタートが他社とのパートナーシップでやったこともあり、システムは現地で作り上げたものになっていた。日本人が赴任すると、そのシステムを学ぶのに6カ月ぐらいかかってしまう。したがって、今、日本と同じ営業施策ができるように、同じ営業基盤を欧州にも移植している。

次は米国市場での成長を狙う

――海外では中国の次にどこを成長させますか。

世界最大の小売市場、米国だ。ポテンシャルも非常に高い。MUJIがマーケットに浸透できる余地はたくさんある。実際、2015年12月にニューヨークに旗艦店をオープンしたが、非常に売り上げが好調。さらに、今までショッピングモールには1店舗も出していなかったが、2015年にはスタンフォードのショッピングセンターにも出店した。それを成功させれば、ショッピングセンターへの出店も開けてくる。

2007年に1号店をオープンした米国では、10年以上遅れて出たにもかかわらず、2015年にフランスを抜き、欧米事業では英国に続いて、第2位の売り上げになっている。これから先も大きく期待できる。 

――日本の小売りとして、2016年、インドに初進出する予定です。

まだ、詳細時期は言えないが、2016年中に出る。私はインドで約3年間、合弁先のパートナーと交渉してきた。インドでは法整備がされ、51%まで株式を保有できるようになった。マイノリティの段階で出るつもりは、まったくなかった。基本的に私どもは、原則直営であり、インドも同様に考えている。「中国の次はインドだ」という人がいるが、それはもうちょっと先だろうと思っている。ここ5年ぐらい、パートナーとも年間1~2店舗の出店ぐらいのペースだろう、ということを確認している。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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