経済を動かす単純な論理 櫻川昌哉著 ~わかりやすい理論で日本のバブルの健在を示唆

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
経済を動かす単純な論理 櫻川昌哉著 ~わかりやすい理論で日本のバブルの健在を示唆

評者 BNPパリバ証券チーフエコノミスト 河野龍太郎

 本書は、金融論の専門家が、世界経済の謎を読み解くためのキーワードである「リスク」と「バブル」を平易に解説したものである。

本書の白眉は、1985年に書かれたジャン・ティロール教授のバブル理論をわかりやすく解説し、さらにそれを現在の状況に適用した点にある。

ポイント1:利子率が経済成長率よりも低い状況が続く時にバブルが生じる。

ポイント2:実体経済とバブルが同率のスピードで成長するならば、バブルは破裂することなく、持続しうる。

ポイント3:一つ一つの資産におけるバブルは、経済成長率と同率で成長する必要はなく、すべての資産を足し合わせた「バブルの総和」が経済成長率と同率で成長するのであれば、経済全体でバブルは持続可能。また、一つの資産でバブルが弾けても、別の資産のバブルによって代替される。

近年、ITバブル、住宅バブル、原油価格バブルとバブル・リレーが観測されたが、そうしたメカニズムが20年以上も前に予測されていたのである。

それでは、今後どうなるのか。ショッキングなのは日本のバブルがいまだ健在な点である。日本は、過剰貯蓄によって利子率が低く、バブルが発生しやすい経済構造にあった。90年代初頭の不動産バブル崩壊後も、国債によるバブル代替が生じ、現在もそれが続いてきた。土地、国債など政府債務、株式の時価総額の合計は、対GDP比で90年代以降、安定しているが、「バブルの総和」が成長率の範囲内で、持続可能だったわけである。

しかし、それは永久には続かないことを、本書は改めて示唆する。というのも、今後、日本のバブルを持続可能にしていた過剰貯蓄の構造が高齢化の進展で大きく変化するためである。

さくらがわ・まさや
慶應義塾大学経済学部教授。1959年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。大阪大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。経済学博士。大阪大学経済学部助手、名古屋市立大学大学院経済学研究科教授を経て、現職。

Amazonで見る
楽天で見る

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事