普及開始の燃料電池で早くも撤退、体力勝負の様相に



 一方のバラード社にしても、このような環境下で当面、利益が期待できない事業を継続するより、長期的に成長性が高い自動車向け燃料電池の開発に集中したほうが得策との判断が働いた可能性もあるだろう。

市場拡大への期待は強いコスト低減がカギを握る

ただ、燃料電池の将来性そのものに疑問符がついたわけではない。都市ガスやLPGから抽出した水素と大気中の酸素を化学反応させて電気を生み出す燃料電池の市場は、これからが本格拡大ステージに入る。現在、家庭用燃料電池ではPEFCが先行して商品化されているが、携帯電話やノートPCなど携帯機器向けもダイレクトメタノール型(DMFC)などほかの方式で近々市場投入される見通し。

長期的な視点に立てば、自動車用燃料電池は普及にまだ相当の時間を要するとみられるものの、市場が巨大なだけに爆発的な潜在需要が期待できる。

燃料電池市場の本格拡大に向け、最大の課題はコストの低減と耐久性の向上。家庭向けの燃料電池システムは1台320万~340万円前後と、補助金を加味しても初期費用は200万円程度かかり、太陽光発電と比べて割高感が残る。燃料電池メーカーは安価な素材への切り替えなど、さまざまなコストダウンへの取り組みを加速している。

燃料電池市場拡大の波に乗れるかどうかは価格競争力がカギを握る。各メーカーはコスト削減に向け、すでに体力勝負の様相を呈してきた。今後、エコエネルギーとして一足先に普及が始まった太陽光発電でも、優勝劣敗が鮮明になりそうだ。

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