ナニワの底力!不況時にトップシェア企業が掲げる「デュアル作戦」とは?《NEWS@もっと!関西》
不況風は世界トップシェア企業にも、容赦なく襲いかかった。
大阪市に本社を構えるダイフクは、立体自動倉庫や自動車向け搬送システムなどで国内首位、液晶・半導体向けクリーンルーム用搬送システムで世界トップ(シェア約50%)だ。ここ数年はアジア向け搬送システムの拡販などにより、業績もうなぎ登りだった。だが、世界不況の影響で状況が一転。自動車や液晶・半導体向けの減産を強いられ、前09年3月期は売上高2421億円、営業利益150億円と5期ぶりの営業減益に。今10年3月期も営業利益30億円計画と、前期比80%もの大幅減益を見込む。
売上高の約30%を占める自動車向けは急回復がのぞめない。近年の業績好調を支えてきた液晶・半導体向けも、今期はさらに落ち込む懸念がある。この危機にダイフクは、攻めと守りの両建ての戦略、いわば「デュアル(=両面)作戦」を掲げた。
デュアル作戦のひとつは、守りの戦略=事業体質の強化である。「やがて来るであろう春に備え、足腰をきっちりと鍛える」と、ダイフクの谷口孝宏常務は語る。
その一例がプロジェクト管理の徹底だ。液晶・半導体向け事業でPDM(製品データ管理システム)とSKS(生産管理システム)を導入した。現在は準備段階で、今年度下期には本格稼働を目指す。受注から出荷・納入まで一貫してデータ管理する仕組みを構築し、部品調達の効率化やリードタイム短縮、さらには内製化促進などによりコストを低減する狙いだ。並行して、プロジェクト・マネージャ制を促進する。これまでは特定のプロジェクトのみに、受注から納入までをすべて管理する責任者を設置してきたが、今回は責任者を置くプロジェクトの数を拡大する。
ダイフクは大型の製品を扱っていることもあり、1件当たり受注高が50億円以上にもなるプロジェクトが少なくない。「これらの案件に穴が開く(ミスなどにより注文がキャンセルされる)と、業績が大きく左右されることになる」(谷口常務)。そこで、稼働率が低迷しているいまのタイミングだからこそ、大型のシステム投資や制度の見直しに着手し、ミスを排除する体質を構築するというわけだ。