これって詐欺? 怪しい副業・資格の見分け方
国民生活センターに届けられている副業や資格をめぐるトラブル件数は、ここ数年微減傾向にある。しかし、景気が悪くなると、またぞろ増えてくるのが詐欺事件だ。しかも、一見すると詐欺には見えないように手口も高度化している。
夫のボーナスが減り、家計のやり繰りが厳しくなった都内在住の主婦Aさん。ふと目に留まったのは雑誌広告の魅力的な宣伝文句だった。「当社でテープリライターの講座を受講すれば、優先的に仕事を回します」--。会議やインタビューの録音をそのまま文字にするのが「テープリライター」の仕事内容である。受講費用は2万円程度。これなら何とか払える金額だ。定期的に仕事が入れば、家計の足しにもなる。しかも在宅でできる。主婦の副業としては悪くない。
Aさんは受講して検定試験にも合格。「テープリライター」の称号を得た。約束どおり、最初の仕事も来た。Aさんはパソコンを立ち上げ、テープ起こしを始めようと、送られてきたテープを再生してみた。
ところがテープに録音されていたのは、5人くらいの人間が、雑音の多いところで何やら会話をしている様子が録音されているだけ。ただでさえ雑音がひどくて聞き取りにくいのに、5人もの人間がてんでばらばらに雑談している。とても初心者が起こせる内容ではない。Aさんは、業者に「これでは作業ができない」と訴えた。返ってきた返事は、「それなら、もう仕事は回せない」の一言。以来、その業者からは何の連絡も来なくなった。
自己啓発セミナーの公認トレーナーBさんは、友人に誘われて受講料3万円の能力開発セミナーに参加。会場には30人近い受講生がいた。受講内容に感動したBさんは、自分もトレーナーになろうと考えた(もちろんひと儲けしようという思惑もあった)。トレーナー養成講座の受講料は数十万円と高額だったが、それでも受講して、試験にも合格。晴れて公認トレーナーになった。