ピーター・T・グラウアー ブルームバーグ会長--金融市場縮小の今こそアグレッシブに攻める

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縮小


--金融分野の成長という点では中国やインド、シンガポールのほうが勝っていると思うが、日本は本当に期待の持てるマーケットですか。

今の日本の金融制度・環境を非常に歓迎している。先ほどお話をしたジャパンプランの中でも触れているが、成長できる分野はある。たとえば地銀に対して浸透度を高める政策や、日本郵政の民営化、資産運用の新しい事業展開など、ビジネスチャンスが増えている。ブルームバーグのブランド力、マーケティング力を強化すれば、そうしたビジネスに貢献できるだろう。

日本語のウェブサイトも見直している。これもコアなビジネスの一つとして位置づけていきたい。また、英文の雑誌を日本語に翻訳して販売することで、さまざまな情報を日本のユーザーに提供していきたい。さらに、ユーザーに対するターミナル操作のトレーニングの推進や、見込み客に対するさまざまなセミナーも積極的に開催している。日本市場に対しては、幅広くかつ密接なかかわり方をしていく。

--金融危機を通じて投資銀行のビジネスモデルが崩れ、金融規制の強化がG20でも話題になりました。規制強化はブルームバーグにとってマイナスに働きますか。

われわれの事業コンセプトの一つに透明性がある。それは同じ情報を同じタイミングですべての人に提供するという考え方だが、ここ数年間の金融の状況を見ていると、あまりにも複雑になっていて透明性が失われてきていた。それが現在の混乱を引き起こした一端ともいえる。

今年1月に各国の財務当局や規制当局と、透明性を促進するための方策について議論を重ねた。なぜそうした議論をしたかといえば、金融市場にまた信認がきちんと働くようにする狙いがある。もう一つは、透明性を確保することで、正しい情報がより多くの人に行き渡ることになるからだ。

そうなれば、その情報を基に、多くの人が正しくかつ簡単に投資判断ができるようになる。これはブルームバーグも含めたあらゆる情報ベンダーにとって、プラスになると考えている。

(聞き手:鈴木雅幸、宇都宮 徹 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)

Peter T.Grauer
1945年生まれ。ノース・カロライナ大卒。92年、投資銀行ドナルドソン・ラフキン&ジェンレットのマネージング・ディレクター。96年、ブルームバーグ取締役(非常勤)。2001年会長に就任。

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