一方、民主党側でも話題をさらったのはやはり反体制的な候補者、バーニー・サンダース氏である。同氏の支持率は今回、49・6%と、クリントン氏(49・8%)に僅差で敗れたが、実質的には肩を並べる結果と言っていい。
クリントン氏が思うように支持を得られない背景には、彼女に政治家としての資質に欠けていると思わせる点があることに加え、社会主義者であるサンダース氏が労働者や中間層の支持をあっという間に獲得したことがある。給料が上がらない一方、学費や医療費負担が膨らみ続ける中、サンダース氏は従来の政治家に不満を持つ中間層の怒りを吸い上げることに成功している。
ニューハンプシャー州はどうなるか
トランプ氏とサンダース氏の投票者層にはかなりの重なりがある。たとえば、トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋パートナーシップ(TPP)のような「馬鹿げた」取り決めや、富裕層の税金負担が少ないことに怒りを募らせている。
アイオワ州選ではこれまで勢いがあると見られていた候補者が若干苦戦する展開となったが、今後はどうなるだろうか。今のところ世論調査では、クリントン、トランプ両氏ともほかの候補者に対して圧倒的なリードを保っている。主要な世論調査の平均では、トランプ氏はクルーズ氏に対して16%、ルビオ氏に対しては25%もリードしている。一方、民主党側ではクリントン氏がサンダース氏に17%のリードを保っている。
そもそも、共和党有権者の約半数が福音派とされるアイオワ州では、トランプ氏の勝ち目はかなり薄いと考えられていた。3回の結婚歴があり、表向きにはほとんど宗教的な言動をしない同氏は、福音派にはまるで魅力がないからだ。
それでは、2月9日のニューハンプシャー州の予備選はどうなるのだろうか。まず、共和党側を見ると、同州はアイオワ州に比べて保守中道よりの有権者が多いため、地盤的にはトランプ氏に有利とみられる。実際、同州ではクルーズ氏、ルビオ氏に対してそれぞれ22%、23%のリードを保っている。初戦トランプ氏を破ったクルーズ氏だが、彼の超硬直的な宗教観がニューハンプシャー州で受け入れられるとは考えがたく、苦戦が予想される。その先を考えても、地元のテキサス州以外で勝つのは難しいだろう。
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