ANAはハワイ線で最強のJALにどう挑むのか 超大型機「A380」2019年導入の勝算を探る
ハワイへの日本人観光客は、2008年のリーマンショック直後や2010年1月のJAL経営破綻による提供座席数の減少を受けて、落ち込んだ時期はあったがそれでも年間115万人を下回らなかった。他の国や地域に比べるとイベントリスクが小さく、安定した大きなマーケットがある。
この数年は円安傾向もあり日本人の海外渡航者数が減少に転じている中でもハワイへの旅行者は伸びており、直近3年間は150万人前後で推移している。中東情勢やフランス・パリのテロ事件、さらには大気汚染の問題などもあり、最近では家族連れを中心に安全な旅行先を選ぶ傾向が強くなっていることも追い風要因にある。
ハワイはリピーター率が高いこともマイレージ会員が多い日系航空会社にとってはプラスになる。2014年のハワイへの渡航者におけるリピーター率は58.5%。最近では特にシニアのリピーター率が増えている。旅行経験豊富なシニアが夫婦で年に2回の海外旅行へ行く場合、1回は今までヨーロッパや北米、東南アジアなどで今まで訪れたことがない国を中心とした観光を中心とした旅行、そしてもう1回は旅慣れたハワイでのんびりリゾートライフを楽しむ旅行を楽しむシニアが増えている。
また、子供や孫も含めた3世代旅行で訪れるケースも増えており、ホノルル線の機内でもそういった光景を筆者も目の当たりにした。こういったシニア層はサービスレベルが高くて安心して利用できる日系航空会社を積極的に利用したい人が多く、ビジネスクラスやファーストクラスの需要も十分に考えられる。
歴史を振り返れば過去にはもっと多くの日本人観光客がハワイに押し寄せていた。たとえば約20年前の1997年は215万人だった。提供座席数を増やして航空券の価格を下げるなどの戦略を取れば、近年の年150万人からさらに伸びる余地はある。
供給過多という懸念事項
ANAの懸念は、座席の供給過多だ。首都圏空港(羽田・成田)からのホノルル線の現状を見ると、1日最大13往復体制で大型機を投入する航空会社が多く、将来的にはLCC(格安航空会社)が参入する可能性も高い。首都圏ではないが、関空~ホノルル線にマレーシアのエアアジアXが就航する計画があるなど利用者の争奪戦になることは容易に想像できる。
他社もANAがA380を導入することで、更なる運賃の引き下げをする可能性も考えられる。ハワイへは個人旅行者も増えているが、パッケージツアーで訪れる旅行者も多い。安定した集客をする上では、パッケージツアーの集客も搭乗率確保の重要なカギとなるだろう。
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