「爆買い終了」におびえる店、勝機をつかむ店

本当の“商売人”は石橋を叩いて壊さない

「以前も銀座に欧米ブランドが多数進出してきた時期があって、マスコミで『老舗vs.海外ブランド』と叩かれました。欧米ブランドに老舗が食われてしまうのではないかと心配してくれましてね(笑)。でも、当事者である私たちはそのようには受け止めていなかった。銀座が目指しているのは“対立”ではなく“共存”なんです。

強い勢力が出てきても結構。その勢いに私たちも便乗して、2回目はうちの店に来てもらおうと努力する。そういう気概があるのが銀座の商売人というものです。中国人を含め、力あるものを排除するというのは、銀座の精神ではありません」(岡本氏)

この言葉を聞いて、私は先日取材したサッポロドラッグストアー会長の富山睦浩氏の言葉を思い出した。サッポロドラッグストアーは北海道で170店舗以上を展開する北海道内大手のドラッグストアで、道内では「サツドラ」の愛称で親しまれている人気チェーン店だ。

中国を訪れ、「爆買いは続く」と確信

インバウンド客向けに力を入れるサッポロドラッグストアー(写真は狸小路5丁目店)

富山氏は一代で道内での基盤を確立したが、中国や台湾東南アジアなど訪日外国人誘致に力を入れており、たびたび自らの足で現地を訪れ、旅行会社などを精力的に回っている。そこで得た中国人の生の声から「爆買いはまだ続く」との確信を持ち、春節を前にした1月末には旭川、洞爺湖など外国人客が多い都市にインバウンド専門店をオープンした。また、4月には沖縄に同じくインバウンド専門店をオープンする予定だ。

沖縄店は同社にとって初の道外への進出となるが、「沖縄には中国人を始め、外国人客が多く、今が狙い目。ちょうどいい物件を見つけた。躊躇してモタモタしていたら、この千載一遇のチャンスを逃してしまう」(富山氏)というポジティブな考え方だ。

同社の店舗では日英中3カ国語での商品説明をするほか、中国語スタッフを常駐させ、Wi-Fi環境も整備。中国人が好む北海道名物の馬油などもオリジナル商品を開発して販売するなど、独自色も打ち出している。

上海を中心に中国の若者に絶大な人気を誇る日本人、山下智博さんを宣伝に起用するなどピーアールにも積極的だ。富山氏は山下さんの存在を知るやいなやすぐにコンタクトし、同社商品を中国語で紹介するインターネット動画を3月から配信することも決定した。

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