オラクルは"クラウド王者"アマゾンに勝つか ナンバーワン戦略を掲げる杉原社長を直撃
米オラクルCEOのマーク・ハードは15年に、「10年後には企業のほぼすべてのデータがクラウド上に乗る」と予想した。アプリケーションも「8割がクラウド上で開発されたり、動くようになる」とも述べている。
オラクルでは、データを高度に暗号化するソフトウエアを搭載した半導体チップを開発し、自社サーバーに搭載している。そのうち、金融機関におカネを預けるのと同様に、重要なデータであればあるほど「オラクルのクラウド上に載せた方が安全だ」と思われる時代がくるかもしれない。
ーークラウド事業について「2020年にNo.1」との目標を掲げている。
これまで、オンプレミス型で30年以上展開してきたデータベースソフトの国内シェアは約50%。官公庁や、製造・流通・販売など幅広い分野の大手企業の多くを顧客に持っている。ただ、大きな投資をしてデータセンターを持つ必要があるため、大手企業の人事、経理、マーケティングなどのIT関連以外の部署や、中小企業には入りきれていなかった。
しかし、クラウドであれば、業務アプリケーションなどを広く提供することができる。オラクルも営業組織を再編するなどで、地方の企業に対する営業に力をいれている。
弊社の製品を扱っているパートナー企業は2000社あり、既存事業にプラスしてクラウドを使っていただくことができることに加えて、新規でこれまでリーチできなかった顧客も獲得することができる。これがクラウドでシェアを拡大していく上での戦略の一つとなる。
高収益を維持できるのか
また、オラクルはクラウドで開発したアプリケーションを、自前でデータセンターを持った場合にも運用することもできる。これは他のクラウド専業ベンダーではできないオラクルならではの強みだ。
たとえば、クラウドで展開していたサービスが拡大してデータ量が増えていけば、自前でデータセンターを持った方がコストが安くなることがある。自社のデータセンターでサービスのカスタマイズをしたいというニーズも出てくるだろう。
また、たとえば金融関連の重要データなどが、法律改正によって自社データセンターで持たなくてはいけなくなるケースも出てくるかもしれない。その点で、クラウド、自前のデータセンターのどちらでも対応できるというのは大きい。
――クラウド事業と、足元で収益の大半を稼ぐオンプレミス型の事業とのバランスはどうなるのか?
まず、オラクルのデータベース技術を使う市場は間違いなく拡大するということは言える。ただ、それがオンプレミス型なのか、あるいはクラウドになるのかという予想は難しい。2020年には日本オラクルの売上の3割がクラウドとなっている可能性もあるが、どちらで使っていただいてもプラスになるというスタンスだ。
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