《検証・民主党》年金-非現実的な抜本改革案、一元化は看板倒れも

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所得の不正申告が横行 未納・未加入も解消せず

まず、最終目標である「完全一元化」から見ていこう。

現在の公的年金制度は、自営業者やパート労働者が定額の保険料を納め、定額の年金を受け取る国民年金と、サラリーマンが報酬比例の保険料を納め、報酬に比例した年金を受け取る被用者年金(厚生年金や共済年金)に分けられる。民主党はこれらを一元化し、所得に応じた保険料を払う仕組みおよび低所得者には最低保障年金を上乗せ給付する仕組みに改めるとしている。

そして、一元化が必要な理由として、「現在の年金は世代間・世代内で不公平が生じ、制度に不信感が高まっていること」「国民年金の未納・未加入問題に象徴される空洞化が深刻なこと」を挙げている。まず、その説明の当否の前に、はたして年金の一元化は可能なのかどうか。

所得額に応じて保険料を納めることで、すべての国民が公平に年金を受け取るという発想自体は評価できる。ただ、自営業者とサラリーマンでは、所得の把握に大きな格差がある。民主党が公約する納税者番号制を導入した場合、利子や配当所得の把握は容易になるものの、事業所得の正確な把握は依然として困難を極める。というのも、事業所得は申告制であり、正確な把握には徹底的な税務調査を必要とするためだ。

不正行為の横行も懸念される。「不正に納税申告したために、所得比例年金が低くなった自営業者に、最低保障年金を支給するのは問題だ」と、年金制度に詳しい堀勝洋・上智大学教授は指摘する。

「自営業者がサラリーマン並みの所得比例年金を受け取るためには、サラリーマンの倍の保険料を負担する必要がある。その合意を得るのも困難だ」とも堀教授は語る。厚生年金には事業主負担分がある一方、自営業者にはそれがないためだ。

最低保障年金を導入する目的として、民主党は「最低限の生活の基礎の下支え」や「年金の空洞化解消」を挙げている。そして、最低保障年金の額については、現在の基礎年金額を上回る7万円以上を想定している。


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