(第2回)オフィスで遭遇する「ストレッサー」を軽くするコツ

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●職場環境がストレッサーの場合

 次に挙げるような問題のある職場や職場環境はストレッサーになりやすい。
・コミュニケーションがない。
・困っている時の問題解決や成長へのサポートがない。
・組織の目的や個々の役割が不明確である。
・キャリアが停滞したり、不確かである。
・事業そのものの社会的価値が低い。
・先輩や同僚との関係が薄いか、孤立している。
・衝突や争いがある。
・仕事と家庭の両立への理解がなく、難しい。
 このような職場では上司への働きかけが鍵になる。職場は理想郷ではないので、すべての問題が上司に伝えた途端に解決するわけではない。上司は大抵、忙しく、自分が部下だったころの視点や考え方を持ちにくい。しかし、多くの上司は部下の感じる問題を軽視しているわけではない。伝えることで上司の認識に影響を与えようと考えるのがよいのである。
 上司が期待通りの回答をしてくれないことがストレッサーになることもあり得る。しかし、善悪という判断基準に基づく言い方と仕事の効率や組織のリスクを重視する観点からの言い方は違う。前者は自身がストレスを生じやすい言い方でもある。後者を意識しながら、上司が快く判断しやすいような伝え方や内容を工夫する。
 例えば、「勤務時間が長すぎるので何とかしてほしい」と訴えれば上司は文句を言われたと感じるだろう。「効率アップのために、朝一番に全員で一日の計画を共有し、早めに終わる工夫をしてみませんか」と提案すると、上司は賛同しやすい。

●ストレッサーへの対応を習慣化する

 オフィスでの対応を最初は意識的に行って、それを繰り返す。繰り返していると習慣にできる。
 ストレッサーへの対応が下手で生真面目な人は、先輩や同僚からの頼まれごとに反射的に「はい、わかりました」と了解しやすい。一旦、了解した後に期日を延ばしたり、断るのは難しい。心の中では余計な仕事が増えたと嘆き、反射的にネガティヴな感情を生じてストレスを感じる。
 そんな場合の上手い対応として、頼みごとをされたら必ず「考えさせてほしい」ということに決めておく。そうすると、後でできるかどうか、時間がどれだけ必要かを冷静に考えられる。そして確実な返事もできる。「考えさせてほしい」という言葉を発するだけで事態は随分好転するだろう。意識的に「考えさせてほしい」と言っていると自然に習慣になっていく。「嫌です、断ります」とオウム返しするわけでないから、評判を落とすことにはならない。だんだん、頼まれごとを冷静に評価するクセも身につけられる。

 次回は、オフィスでストレッサーに影響されても、感情を左右されず、活力のある状態を維持するような、よい生活習慣と維持の仕方を紹介しよう。
2009年3月26日発売
人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門
図でわかる、適切な対応ができる
亀田高志 著

詳細およびご購入はこちらから
亀田高志(かめだ・たかし)
(株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長/医師(HP: http://www.uoeh-s.com/
1991年3月産業医科大学医学部医学科卒業。日本鋼管病院勤務、NKK(現JFEスチール)産業医、日本アイ・ビー・エム(株)産業医、IBM Asia Pacificの産業保健プログラムマネージャーを経て2005年7月より産業医科大学産業医実務研修センター講師。2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。企業のメンタルヘルス対策に関するコンサルティング、様々なメンタルヘルス研修会の講師に加えて、産業医科大学における企業向けメンタルヘルス対策支援事業を担当。
著書は『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門』(東洋経済新報社)。その他、日経ビジネスオンライン『事例で学ぶメンタルヘルスのツボ』、Work(リクルートワークス社)『健康経営のココロ』を共同執筆。
亀田 高志

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