戸建ては連休後に「買い場」到来? 在庫処分ほぼ一巡だが供給圧力残る《不動産危機》
マンションほどではないものの、住宅の値崩れは戸建ての建て売り市場でも起きている。
不動産経済研究所の調査によると、2008年の首都圏建て売り住宅の平均価格は前年比3・8%減。埼玉・千葉では前年比でまだ若干の価格上昇が続いていたが、ここ数年の地価上昇が著しかった東京で6・3%減と反落し全体の足を引っ張った。価格が高止まりしていた昨年前半を含んだ平均値なので下げ幅はまだ小さいが、年明け以降、3月期末決算を前に在庫処分が進んだため、足元ではさらに下げ幅が広がっているとみられている。
東京南西部の多摩地区。中でもJR中央線沿線は街並みの成熟度や交通アクセスの容易さに加え、都心部では難しい一戸建てを建てられる土地がまだある。戸建て志向の買い手には人気エリアとなってきた。ところが、3月発表の公示地価を見ると、中央線沿線は都区部の杉並区をはじめ、武蔵野市、三鷹市などで住宅地の下落ぶりが目につく。
中央線のさらに西部にある国分寺市周辺でも、ここ数カ月で新築戸建て価格が1割以上下落。1~2月にはパワービルダー(低価格戸建て分譲業者)などの売れ残り在庫処分とみられる「新価格」セールのチラシも目立った。
「国分寺は特別快速が停まるなど通勤の便がよいので人気は高い。価格もそろそろ落ち着くはず」。地元の大手不動産会社は期待を込めてそう話す。が、新築格安物件は一服しても、中古戸建てや建築条件なし土地が割安感の強い価格でポツポツと売りに出されており、先安感が払拭されたわけではない。
もっとも、パワービルダーに比べ体力のある不動産大手では、こうした状況下でも値下げはしていない。
野村不動産は、同じ東京多摩地区でも、京王相模原線終点に近い南大沢駅(八王子市)からバス6分の分譲地で昨年年初に戸建て45戸を売り出したが、1年経ってもなお5戸が売れ残る。1戸当たりの土地面積は60坪弱、建物面積も40坪弱と広めだが、駅から徒歩ではなくバス便で、価格も7000万~8000万円台中心と平均的な年収層にとっては高めの価格設定となっている。