アメリカが史上空前の経済対策を断行、保護主義に突き進むのか?

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 「われわれは保護主義という歴史的過ちを繰り返すことはない」。4月2日に閉幕したG20(主要20カ国・地域による緊急首脳会議)の共同声明では、保護主義阻止に対する強い姿勢が盛り込まれた。

だが、WTO(世界貿易機関)は、保護主義と懸念される措置が米国を含む世界23カ国・地域で昨年秋以降導入されたとする報告書を、3月26日に出している。特に米国では7870億ドル(約79兆円)という史上最大規模の景気対策が実施される。その公共事業では、米国製品の使用を義務づける「バイアメリカン条項」が盛り込まれた。破綻の瀬戸際にある自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーには、170億ドルを超える政府融資が実施されている。

米国は保護主義へと突き進むのか。思い起こせば1981年、リセッションに苦しむ米レーガン政権は日本に圧力をかけ、日本は対米乗用車輸出を自主規制した。今回も同様の動きが繰り返されるのか。

日本からの輸出抑制を求める有力議員は皆無

米国の現状を冷静に分析しよう。まず、有権者。ほとんどの有権者は、一部の人々が恐れてきたよりもずっと保護主義に距離を置いている。もちろん、国民の中にも議会の中にも、保護主義的な政策を支持する声はある。しかし全般的に見ると、ほとんどの米国人は、問題の原因が国内の事情にあることを理解している。深刻な経済危機に直面しているにもかかわらず、バラク・オバマ大統領に広範な輸入制限を求める圧力は、それほど強くない。連邦議会の主だった議員の中に、日本に輸出抑制を求めたり、今後の自動車業界救済法案に国内部品調達規定を盛り込むことを求めたりする人は皆無だ。

次にオバマ大統領の方針。オバマ氏は予備選挙の期間中、工業地域で民主党有権者の支持を集めようと、保護主義的な発言を繰り返した。民主党の大統領候補として争ったヒラリー・クリントン氏と同様に、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を約束した。しかし、オバマ氏は、予備選挙に勝利して民主党の大統領候補に確定して以後は、保護主義的な発言を控えている。2008年6月23日に『フォーチュン』誌が行ったインタビューの中で、NAFTAについての辛辣なコメントについて聞かれた際、オバマ氏は、「選挙運動においては、表現が過熱して増幅することがよくある」と答えている。大統領に就任するとすぐにカナダを訪問したが、NAFTAの再交渉には一言も触れなかった。

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