なぜGMは転落したのか R・ローウェンスタイン著/鬼澤忍訳

なぜGMは転落したのか R・ローウェンスタイン著/鬼澤忍訳

よくある自動車業界本と思うと間違う。むしろ副題の「アメリカ年金制度の罠」が内容を正しく反映している。ほぼ3分の1のページを占める第1部「誰がGMを殺したか」で、年金・健康保険問題を照準にしてGMのいま一つの病巣を痛烈にえぐる。このほど退任したワゴナー前会長の「私たちが手にしている結果にとって、歴史の影響はきわめて大きかった」の言葉に、抜き差しならぬその苦悩ぶりがよく表れている。

2000年にワゴナーは47歳でCEOに就任。当時から、ウォール街のアナリストはGMを「車輪に載った年金事務所」と評し、「ショールームつき医療友の会(HMO)」というジョークまであったという。

基準の甘い健康保険と莫大な年金給付の負担は、民主党の集票マシン全米自動車労組(UAW)との妥協と無策の中で、経営の重しとなる歴史が豊富な取材の積み重ねで描かれる。

GMはこの「あり地獄」から果たして抜け出せるか。

日本経済新聞出版社 2100円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 本当に強い大学
  • 西村直人の乗り物見聞録
  • 日本野球の今そこにある危機
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
ANAが希望退職実施へ<br>雇用維持貫くJALとの差

ANAホールディングス傘下の全日本空輸は10月7日、退職金の割り増しによる希望退職の募集を労働組合に打診。一方の日本航空(JAL)は同日に開かれた定例会見で、人員削減の考えはないと明言。両社で対応が分かれた要因とは。

東洋経済education×ICT