ザッカーバーグの巨額寄付は有意義なものだ 「寄付」と「投資」を組み合わせた新しい仕組み

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もともと米国では大手ファンドがスタートアップ企業に巨額資金を投じ、利益や雇用を創出してきた。カリフォルニアのベイエリア・エクイティファンドは04年来、総額1億ドル(約117億円)をEV(電気自動車)ベンチャー、テスラモーターズなどのスタートアップ企業に投じてきた。同ファンドの試算では、これらの投資は計1万5000人分の雇用、24%の内部収益率を生み出したという。

今や大手ファンドは、インパクト投資の重要な担い手となりつつある。彼らは主に環境・社会・企業統治(ESG)分野を重視し、複数の投資家が共同で運用するミューチュアルファンドに資金を投じている。

ある専門家の試算では、ESG関連のファンドへの投資は、07年に計2020億ドル(約24兆円)だったが、14年には4兆3000億ドル(約500兆円)へと爆発的に増加したという。個人投資家が直接購入できるESGファンドの種類が増えているほか、大手年金基金も同分野への投資の可能性を探っており、規制緩和の動きも起こっている。

21世紀の社会問題解決のカギに

そうしたインパクト投資拡大のトレンドを象徴するのが、ザッカーバーグ夫妻の今回の決断だ。彼らは自らが望む社会変革を起こすために、特定の団体を支援したり、政治活動に資金提供したりできる。それだけでなく収益や社会的影響の拡大を狙う営利団体に投資して、社会変革を後押しすることも可能だ。

もちろん、こうした新タイプの寄付が広がっても、政府の役割に取って代われるわけではない。ザッカーバーグ氏やビル・ゲイツ氏といった億万長者の慈善家でさえ、地域的、国家的、世界的なスケールで起こる社会問題を解決することは難しい。できるのは政府に政策変更を促すよう主張することだけだ。

それでも公共心を伴うベンチャー投資が重要なことは変わらない。彼らは21世紀の社会問題を解決するキープレーヤーとなるだろう。

週刊東洋経済1月23日号

ローラ・タイソン 米大統領経済諮問委員会元委員長

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Laura Tyson

米カリフォルニア大学バークリー校教授。ロック・クリーク・グループのシニアアドバイザー。

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レニー・メンドンカ マッキンゼー&カンパニー元取締役

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