フィンランド、自警団の台頭が意味すること 黒服を着た「オーディンの戦士たち」
さらに、ケルンその他のドイツ諸都市において女性に対する性的暴力の訴えが数百件あり、主として不法移民と亡命希望者を対象とした捜査が行われている。ストックホルムでも、もっぱら移民の若者による同様の暴行について訴えがあるのに、スウェーデン警察が隠蔽しているとの主張もある。
警察の記録によれば、フィンランドにおける性的嫌がらせの報告件数は2015年9─12月の4カ月間で147件あり、前年同期の75件に対し、ほぼ倍増した。容疑者の民族別の内訳は明らかにされていない。
自警団は必要ない
政府は、自警団が活躍する場はありえないと明言している。
フィンランドのシピラ首相は12日、「オーディンの戦士たち」をめぐる懸念に応えて、「国内の法と秩序に責任を持つのは警察であるというのが原則だ」と公共放送YLEに語った。「市民による自警団が警察の権限を肩代わりすることはできない」と述べた。
同国が昨年受け入れた亡命希望者は約3万2000人で、2014年の3600人とは桁違いの急増だ。だが相対的に見れば移民コミュニティーは小さく、2014年の外国生まれの人口比率は、欧州連合の平均10%に対して約6%にすぎない。
ケミの街では、マイナス30度の気温にもかかわらず、「オーディンの戦士たち」が毎日街路をパトロールしている。同グループは23カ所の街で活動していると称するが、警察によれば5カ所だという。同グループが運営するフェイスブックページの「いいね」の数は7600に達している。
グループのウェブサイトには「われわれの見解では、侵入したイスラム主義者が社会不安の原因となり、犯罪を増加させている」と書かれている。ある自称メンバーは、東部の街ヨエンスーで新会員を募集するため、グループのフェイスブックページに「白人種のフィンランドのために戦う愛国団体である」と書き込んだ。
ドイツ東部の都市ライプチヒでは、今週、マスクをした右翼支持者200人以上が、人種差別的な含みのあるプラカードを掲げて暴れ回った。
スウェーデンでは昨年10月、マスクをして刃物を持った男が学校を襲撃し、移民出身者2人を殺害。この事件により、難民の流入により世論が二極化しているとの懸念が高まった。
フィンランドでは「オーディンの戦士たち」と移民のあいだの衝突は1件も報告されていないが、警察は同グループに対する注意を怠っていないと語る。安全情報局によれば、「一部の自警団」は過激主義とのつながりがあるように思われるという。