日本は、台湾の新政権とどう付き合うべきか これから中台関係は大きく変化していく

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第3に、台湾の安全保障環境の変化だ。中国が台湾存立にとっての脅威であることは現在も変わりはないが、中国が武力侵攻してきた場合に台湾を守ることを約束している米国と台湾との関係に変化が生じてきた。

米国は確かに台湾の防衛にコミットしているが、台湾が中国との関係を悪化させて独立の方向へと進むと、中国との関係で非常に困難な立場に立たされる。だから米国は独立志向の強い民進党を警戒し、台湾を独立させる考えはない国民党に安心していた。

日本の立場は米国と同じ

しかし、南シナ海に関して、実は、国民党も米国にとって問題であることが露呈してきた。きっかけとなったのは、中国が、南シナ海全域が中国のものだという考えの下に南沙諸島で埋め立てや飛行場などの建設工事を行なって米国と対立し始めたことであるが、国民党も南シナ海について中国と同じ主張なのだ。今まで米国との間で問題にならなかったのは、国民党が米国との矛盾をさらけ出さないよう静かにしていたからに過ぎない。

一方、民進党には国民党のような大国主義的考えは元からなく、米国の立場を損ねる懸念もない。つまり、米国は、民進党に対して台湾独立との関係で警戒していたが、国民党に対しても、南シナ海の関係で警戒するようになってきたのだ。

日本の立場も米国と同じだ。表面化しつつある国民党の南シナ海に対する領有権主張は問題であり、警戒が必要だ。中国と国民党は尖閣諸島にも領有権を主張しているので日本の場合はいっそう深刻である。

中台関係が変化し蔡英文新総統に追い風が吹いているのは事実だが、危険もある。

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