日本通運と日本郵便合弁のJPエクスプレス“見切り発進”で白金会長が訓示、ぶら下がり会見の一問一答
日本郵政の郵便事業会社・日本郵便との宅配便合弁会社、JPエクスプレスが4月1日に“見切り発進”した。日本郵便の宅配事業「ゆうパック」とのシステム統合や日本郵便からの宅配事業譲受は10月で、9月末までは日本通運の「ペリカン便」からJPエクスプレスに事業譲受された宅配便のみで営業する。それまでは、ゆうパックとの共同輸送は「考えていない」(JPエクスプレスの白金郁夫会長)。
東京・潮見の日本通運・東京中央ターミナル内のJPエクスプレス新砂支店の7時30分からの朝礼で、白金会長は「宅配便の運賃は最も安いゆうパックに合わせた。同業他社が不十分なサービスを順次展開していく。『宅配便といえばJPエクスプレス』と言われるようになりたい。残念ながら3番手からの出発だが、早く2番手、1番手になれるよう頑張ろう」と檄を飛ばしたが、ゆうパックとペリカン便との単純合算で、JPエクスプレスの宅配便の取扱量は年間約5億個。ヤマトホールディングス、佐川急便に次ぐ業界3位での発進だが、最大手のヤマトの取扱個数は年間12億個。上位2社に大きく水を空けられている。しかも、ゆうパックの貢献が下期からなので、JPエクスプレスの初年度取扱個数は3.6億個にとどまる見通しだ。
朝礼を終えた後、白金会長はぶら下がり会見に応じた。以下は一問一答の要旨。
--新しいサービスとは。
白金会長 具体的にはこれから考えることだが、たとえば荷物を届ける際に、相手が不在で何度も行かないといけないが、時間帯を工夫することで回数を減らせる。荷物を差し出すに当たっては郵便局から出せるのでアクセスポイントが拡大する。
--日本郵便の労組が(ペリカン便との事業統合に)難色を示している。
白金会長 労組とは条件面を調整しているところ。
--ペリカン便と日本郵便とでは(年収で)200万円の差があるがどう埋める。
白金会長 宅配便に見合った労働条件というものがある。これまで国家公務員の流れできていた。これからは民間並みの労働条件になる。
--黒字化のメドは。
白金会長 3年目に黒字化という計画だが、今はまずビジネスモデルを固める段階。
--運賃をさらに下げる考えはあるか。
白金会長 今段階で最低水準。品質が勝負だと思っている。
--当面の強化施策は。
白金会長 SD(セールスドライバー)のビジネスモデルを9月末までに定着させたい。
--これまで何度も営業開始が遅れた。
白金会長 総務省との兼ね合いがあり、我々からなかなか申し上げにくいが、システム統合の問題などがあった。
--システム統合や日本郵便から事業譲渡される10月に営業開始する手もあった。
白金会長 そこはいろいろあれだが、(今回のやり方が)必ずしもマイナスとは考えていない。
--完全統合後の年商は。
白金会長 3000億円を切るくらい。
--朝礼で「早く2番手、1番手になりたい」としていたが、ヤマト運輸、佐川急便を抜くのはいつか。
白金会長 それはまたこれからだが、それよりも黒字化して早く繰越損失を解消したい。
(山田 雄一郎)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.03 1,901,433 48,502 55,964 36,439
連本2009.03予 1,842,000 32,000 38,000 15,000
連本2010.03予 1,580,000 25,000 29,000 14,500
連中2008.09 951,898 18,882 22,814 10,820
連中2009.09予 760,000 12,000 14,000 7,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.03 34.9 10記
連本2009.03予 14.4 8-10
連本2010.03予 13.9 8-10
連中2008.09 10.4 5
連中2009.09予 6.7 4-5
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