「4K番組は録画禁止」という驚愕のシナリオ 民放5社が密室で主張していることとは?

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番組著作情報や広告など、テレビ局が視聴者に認知させたい映像に対してトリック再生(早送りなどの総称)を不可能とした上で、再生速度も変化させないようにしてほしいという要望だ。

CM再生対象の時間帯を放送側であらかじめ指定しておき、再生制御の可否、再生回数(指定回数を表示したらスキップ可能とする)、再生期間の設定(広告掲載期限を決めるとうこと)などにより、CM表示を強制するというものである。

民放のビジネスモデルがCMに依存している以上、こうした提案も理解できなくはない。しかし、光ディスクなど他媒体へダビングすると、その先の記録媒体ごとの運用ルールへと切り替わるためCMスキップを完全に禁止することはできない。なにより消費者が好まないはずだ。

CMスキップによる事業損失排除が最大の目的

CMスキップ禁止が実現すれば、タイムシフト再生時にもリアルタイムの視聴時と変わらない広告効果が得られる。必ずしも複製禁止を導入しなくとも、ビジネスモデルの改善を図ることができるわけだ。おそらく、CMスキップ禁止という案が通れば、複製禁止の運用を可能にするという主張は取り下げるのではないだろうか。もしCMスキップ禁止を実現できないのであれば、コピーネバーで録画そのものを禁止した上で、独自にタイムシフト再生サービスをインターネットで提供しようと考えているのではないか、というのが筆者の推測だ。

CMスキップ禁止はインターネットストリーミングであれば、放送局自身が提供するサーバーの機能として実装できる。複製禁止にした上で、見逃し視聴サービスに誘導。有料サービスあるいは広告付き配信などの形で”録画の代わり”を提供する。ただし、この場合は4KではなくフルHDでのサービスになる可能性もあるだろう。

録画には「アーカイブ」と呼ばれる、記録しておいていつでも、何度でも再生できるという要素もあるが、ある程度の期間、見逃し視聴を提供できれば、大多数の視聴者は納得すると考えているのかもしれない。

しかし、繰り返しになるが、CMの強制表示や複製禁止などのルールはは、密室で決めるべきものではない。CMの強制表示は、技術開発が必要なためすぐに対応することはいずれにしろできない。一方、複製禁止はすべてのデジタル放送対応機器が、すでに実装済み。つまり、急いで機器仕様を変更する必要はない。

本当に視聴者のためにコンテンツ品質を上げることが、提案本来の意図なのであれば、公開された議論の中でも正当性を、放送事業者は主張できるはずだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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