「4K番組は録画禁止」という驚愕のシナリオ

民放5社が密室で主張していることとは?

テレビ番組の録画に関して、コンテンツオーナーやテレビ局が抵抗したのは今回が初めてではない。もっとも広く知られているのは、家庭向けビデオレコーダーが普及し始めた時代に起きた、ハリウッド映画スタジオとソニーの8年に渡る係争だ。

家庭向けビデオレコーダーが登場しはじめると、米国ではこれを映像産業の敵と見なして著作権(コンテンツ複製権)を巡る争いが起き、ソニーや録画機を宣伝した広告代理店、録画した番組を楽しむ視聴者が訴えられた。

このときにソニー創業者の盛田昭夫は、「タイムシフト」という造語を生みだし、現在は録画機能の正当性や機能の本質を表現する言葉として広く使われている。タイムシフトは、放送枠という時間に拘束されたテレビ放送を、好きな時間に楽しめるのがビデオ録画機の機能であること端的に示している。無料で放送される番組を個人が私的利用の範囲で複製し、放送時間外に楽しむことは著作権侵害に当たらないとした。これがいわゆる「ベータマックス訴訟」の顛末である。

それ以来、テレビ放送をタイムシフトして視聴者が自由な時間に楽しむことは、著作権侵害にあたらず、自由に行えることが運用ルールとして定着。生活スタイルの中にも溶け込んでいる。

放送する側での制御が可能に

ただし、ベータマックス訴訟当時とは異なる点もある。デジタル放送になり、放送側で「番組の蓄積・記録・コピー制御」を行うことも可能になった。技術的には録画の可否を、放送局側がコンテンツごとに決めることができる。録画機は放送局が設定した複製条件に従って、録画の可否や複製範囲の制御を変えるように設定されている。コピーワンスやダビング10などは、こうした複製制御における運用規定の一部で、技術的には今すぐにでも”複製禁止”――すなわち、録画が不可能な放送が行える。

しかし、上記のような過去の判例や利用者の慣習などがあり、機能として盛り込まれてはいても、録画禁止という機能は運用されていなかった。技術的には可能なものの使ってこなかったということだ。

この”無料放送の複製禁止”の運用を可能にするルール改変が行われていることが発覚したのは、昨年12月25日に発行された「高度広帯域衛星デジタル放送運用規定」で、無料放送と月極有料放送の複製禁止について「T.B.D.」と記載されたためだ。T.B.Dとは「To Be Defined」の略で「未決定」という意味。つまり、運用不可という従来のスタンスを変えることが話し合われていることを示している。

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