「4K番組は録画禁止」という驚愕のシナリオ

民放5社が密室で主張していることとは?

実は本件が発覚する以前から、複製禁止の運用を可能にするという噂は出ていた。昨年11月26日の文化審議会著作権分科会で、主婦連合会の河村真紀子委員が、「複製不可の運用を可能にしようとしているとの話を聞いている」という主旨の発言をしていたからだ。

運用規定発表を間近に控えた12月8日にNexTV-F技術委員会に提出した報告によると、放送事業者と受信機メーカーの意見は真っ向から対立しており、放送局側が複製禁止の運用を強く求めていることがわかる。しかし、複製禁止を可能にした後、それをどのような基準で運用するかについては現時点では提案されていないようだ。

NexTV-Fにおいて運用規定を決める作業部会に参加しているのは、民放キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョン)、東北新社、WOWOW、ジュピターテレコム、それに受信機メーカーであるソニー、シャープ、東芝、パナソニック。技術委員会関係者によると、複製禁止を訴えているのは民放キー局5社とのことだ。

コピーワンスで消費者とメーカーを出し抜いた放送局

本件に対して敏感にメーカー、あるいは前出の消費者団体が反応するのは、過去に放送局側が運用ルールを一方的に変えてきた過去があるからだ。

たとえば、現在、デジタル放送視聴にはB-CASカードが必須となっている。ところが、もともとは有料放送などのスクランブル(暗号化)に使うために導入されていたもので、B-CASカードなしでも視聴可能になるはずだった。しかし、実際の運用では全放送局の放送がB-CASカードなしでは受信できなくなっている。

しかもデジタル放送においては、「運用可能ではあるが実際には運用しない」とされていた無料番組放送のコピーワンスについても断行するという事態も発生した。民放キー局とNHKが、まったく同時にコピーワンスに切り替えたが、振り返ればB-CASカード必須の運用へと強引に持ち込んだのは、コピーワンス導入への布石だったのかもしれない。

このような経緯を考慮すれば、消費者の意見も取り入れながら、ガラス張りの場で、複製禁止番組の運用ルールが検討されるべきである。

コピーワンス導入問題当時の取材メモを読み返すと、放送局は「放送時のミスなどリスクを避けるため、番組ごとに複製運用条件を変えることはできない(つまり複製フラグを番組ごと変えることはできない)」と話していた。もし同じ主旨での運用を考えているのならば、BS(放送衛星)を用いた4K放送(おそらくそれ以降のすべての4K放送も)は、無料放送も含めてタイムシフトが不可能な複製禁止だけになるかもしれない。

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