「児童虐待防止政策」には致命的な問題がある

虐待死を防げない根本的な理由は何なのか

海外から批判を浴びている日本の児童虐待防止政策。何がそれほど問題なのでしょうか(写真:stevanovicigor/iStock)

筆者は児童虐待の研究をしています。社会福祉学は、ミクロ(個人)、メゾ(地域)、マクロ(政策)と分かれているのですが、マクロを中心に研究しています。前回の記事(『子どもの虐待による「社会的コスト」は甚大だ』)に続き、マクロの視点から児童虐待防止政策の課題について述べたいと思います。

アジア諸国が嘲笑する日本の児童虐待防止政策

日本は戦後目覚ましい復興と成長を遂げ先進国となりました。社会保障などの福祉分野でも日本に学べというアジア諸国は数多くあります。特に障害や高齢分野では、条文がほとんど同じようなものまであります。

しかし、「児童福祉分野の現金給付、保育、児童虐待防止政策」については他国から失敗政策のレッテルを貼られ、参考にされることはありません。「日本の方式以外だったらうまくいくだろう」と嘲笑されるほどです。いったい何がそれほど問題なのでしょうか。今回は児童虐待防止政策に絞って述べたいと思います。

海外の研究者は、わが国の児童虐待防止政策に関わる人数、予算(コスト)の少なさにまず驚きます。そしてどの国の研究者も怒りを秘めた口調で主張するのは、なぜ、親と子が分離する一時保護や措置(施設や里親で生活すること)、また再び一緒に暮らす(再統合)について、司法が関与しないのかということです。これは海外の国際学会に行っても最もわが国が批判され、そして反論できない事実であります。

日本は「子どもの権利条約」に1994年に加盟しました。条約を批准した各国の政府は子どもたちの権利を実現するために、国内法の整備などを具体的に進める必要があります。

しかし、わが国はその国内法の整備を「まったく」行ってこなかったのです。2016年児童福祉法改正においてその理念が子どもの視点からへと転換されましたが、25年以上たった今も、ほとんど前進していません。児童福祉法や児童福祉法の条文を変更する、通達を出すくらいしかできなかったのです。

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