K-POPオーディションに挑む日本の女子中高生

「韓国でアイドルになりたい」という強固な夢

「こればかりは、今後どうなるかわからない。政治と芸能は別のものだと思いたい」

8月のソウルは、確かに熱い"政治の季節"のただなかにあった。日本の輸出管理強化、韓国のGSOMIA破棄など、「関係悪化」を両国メディアが煽り、韓国でも連日、トップニュースは日本関連で占められた。日本大使館前の路上では「NO安倍集会」が繰り返されていた。日本製品の不買運動も広がり、スーパーやコンビニでは日本製ビールの品薄状態が続く。そうした空気に触発されたのかどうかは不明だが、日本人女性が韓国人男性に暴行を受けるといった事件も発生した。

暴行を働いた男性が非難されるのは当然だが、日本のネット上では「この時期に韓国に行くほうがどうかしている」「なぜ、韓国などに行くのか」と女性を中傷するような書き込みすら相次いだ。

日本人観光客は去年同月と比べて増えている

だが──「最悪」とされるなかにあっても、テレビを消し、ネットを遮断し、デモや集会の現場から離れれば、ソウルは意外なほどに落ち着いている。繁華街の明洞も、高層ビルが立ち並ぶ江南も、K-POPの聖地として知られる若者の街・弘大も、日本人観光客でにぎわっていた。

それもそのはず、8月に韓国を訪れた日本人観光客は32万9652人(韓国観光公社調べ)。昨年同月と比較して4.6%増の数字だ。そう、なんと日本人観光客は増えているのだ。今年1月から8月までの累積統計でも、昨年より22%も増加している。韓国にとって日本人観光客は、いまなお「お得意様」であることにまったく変わりはない。

東京特派員経験を持つ韓国紙の記者も「日本への旅行自粛は広がっているが、こんな時期だからこそ韓国に来てくれる日本人観光客は歓迎されることが少なくないと思います。日本政府に対する反発はあっても、少なくとも日本人そのものを排斥するような動きは広まっていません」と話す。

果たして、オーディションに参加した日本人女性たちの"K-POP愛"も、まったく揺らいでいなかった。

「K-POPの世界で活躍することが夢なんです。政治のことはまったく気になりません」

そう断言したのは神奈川県から来たユミさん(仮名)。16歳の高校1年生だ。

「だって、音楽には何の罪もないですよね?」

笑顔を絶やさない彼女は、中学生の時から学校のダンス部で活動し、ダンス主体で「魅せる」K-POPの迫力にはまった。母親もKARAの熱烈なファンで、「一番の理解者」だという。

「お父さんだけが、韓国でアイドルになりたいと話すとイヤな顔をします。政治的なことが影響しているようです。でも、私の強い決意を聞いて、渋々許してくれました」

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