迷走リクシル、「2度目の社長更迭」の深刻度 創業家がCEOに復帰、プロ経営者をまた更迭
3年前と同じ、突然の退場劇だった。
10月31日、LIXILグループは2019年4月までに瀬戸欣哉社長が退任し、山梨広一社外取締役が社長に就任する人事を発表した。
同時に創業家2代目の潮田洋一郎・取締役会議長の会長兼CEO(最高経営責任者)復帰も明らかにした。LIXILが社長の“解任”に踏み切るのは、中国子会社の不正会計を機に2015年に退任した藤森義明前社長に次いで2度目となる。
なぜ瀬戸氏は解任されたのか。潮田氏が会見で公言したのは、瀬戸氏に対して就任当初から抱いていた違和感だった。
すれ違う創業家と瀬戸氏
「LIXILは純粋持ち株会社でなくてもいいのでは」。2016年6月の社長就任を機に、瀬戸氏が放った一言に潮田氏は驚いたという。
「先を見据えて価値のある事業を見極める純粋持ち株会社と、目の前の問題に対処する事業会社とは違う。瀬戸さんとの認識の違いが最後まで埋まらなかった」(潮田氏)。創業家と瀬戸氏との距離は徐々に広がっていった。
瀬戸氏の解任がこのタイミングになったのにも事情がある。人事発表の9日前、LIXILは2019年3月期の業績予想を下方修正した。事業利益(IFRS、営業利益に相当)は450億円と当初の見通しより400億円低い。
この業績不振の要因は天候不順による工事の遅延に加え、瀬戸氏が今年4月から導入した「新取引制度」にある。この制度は取引額の規模に応じて、取引先への納入単価を自動的に決めるもの。2017年10月から半年かけて工務店などに説明し、準備をしてきた。
だが導入後の4月以降、実質値上げとなる取引事例が相次ぎ、顧客がYKK APや三協立山といったライバルへ大量に流出。その結果、住宅サッシなどを扱う主力事業のハウジングテクノロジー部門は、今期の事業利益が130億円と前期実績の275億円から半減する見通しだ。
瀬戸氏は「合理的な価格決定をする新取引制度は必要なもの」と主張する。
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