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深緑に囲まれた目的地は、まさに「人里離れた」場所にあった。2年前、19人の知的障害者が殺された神奈川・相模原市の「津久井やまゆり園」。アユムさん(46歳、仮名)が事件の現場を初めて訪れたのは、今年7月。猛烈に暑い日だった。
「やまゆり園」はひとごとじゃない
取り壊し工事が進む建物の前で、花束を供え、手を合わせた。アユムさんは発達障害の一種であるADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ。施設に足を運んだ理由をこう語る。
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「いつかお参りに行きたいと思っていたんです。ひとごとじゃないから。私も昔、家族から精神病院に入院させられそうになったことがあります。自分なんて生まれてこなければよかった。ずっとそう思って生きてきました。だから……」
声が震え、見る間に目元が赤く充血した。しばし言葉を探した後、こう続けた。「だから、加害者の気持ちもわかる。そんな自分が怖いんです」。
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アユムさんには、自宅である賃貸アパートで話を聞いた。
ワンルームの床は、書籍や衣類、飲料水などで足の踏み場がない。壁には、何枚ものカレンダーや写真や覚書などが、所狭しとガムテープで張られている。押し入れの中も、ソファーの上も、何かしらのモノが積み上がり、本来の用途をなしていない。
アユムさんが申し訳なさそうに「片付けられないんです」と言う。
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