日本人に「脱・現金払い」は本当に定着するか

世界に後れを取るインフラ整備と意識

こうした動きは日本独自の悪しき歴史でもあるのだが、録画媒体の争いで繰り広げられた「VHS」と「ベータ」の争いのように、不毛な競争を展開しなければならないかもしれない。日本の場合、過去の歴史から見れば中国のようにQRコード決済が爆発的に普及する可能性は低いということだ。

実際に、現在の日本でキャッシュレス化の中心は、QRコードではなくそれ以外のシステムが圧倒的に多い。たとえば、LINE PayでもQRコードが使える店舗はまだ9万4000件程度。その一方で、NTTドコモが展開するiDは44万店、楽天Edyで35万店、JCBの非接触型電子マネー決済「QUICPay」が使える店舗は24万店にも達する。

日本が取り組んでいる代表的な電子決済ツール

QRコード決済よりも、はるかに普及している電子決済ツールがすでにあるわけだ。現実に、日本が取り組んでいる代表的な電子決済ツールを紹介すると、次のようになる。

●QRコード決済……日本では「Origami」や「LINE Pay」が先行しているものの、大手企業の参入も 進んでいる。ドコモの「d払い」、Amazonの「Amazon Pay」、楽天の「楽天ペイアプリ」などが新たに参入しつつある。

このほかにも、前述の「PayPay」などがあるが、みずほ銀行などのメガバンクやゆうちょ銀行などもQRコード決済への市場参入を表明している。

●バーコード決済……公共料金や通信販売などの払込票についているバーコードをスマホで読み取ることによって支払いができる決済サービス。みずほ銀行やりそな銀行、ゆうちょ銀行などがすでに導入しており三菱UFJ銀行もこの10月からスタートさせる。 LINE Payのスマホの画面でもQRコードとともにバーコードが出てきて店舗がスキャンして決済できるようになっている。

●仮想通貨決済……決済に用いるお金を仮想通貨で行うサービス。仮想通貨を使うことで銀行を仲介する必要がないためコスト面で格安になり、さまざまな決済方法が可能になる。仮想通貨はブロックチェーン(分散台帳技術)を活用したもので、この10月からSBIホールディングスがグローリーなどと共同でスマートフォンのアプリによってチャージ決済ができる「Sコイン」の実証実験を始める。ブロックチェーンを用いた「Sコインプラットフォーム」を通して決済を行う。

●非接触型ICカードを使った決済……Suica(スイカ)やICOCA(イコカ)、PASMO(パスモ)といった交通系カードが有名だが、これらの大半は「FeliCa」と呼ばれる非接触型ICカードを使った電手決済技術だ。携帯電話に搭載した「おサイフケータイ」も有名だが、ソニーが開発したこの技術にいつまでもしがみついている企業が多いため、日本でQRコード決済が大きく普及していないとも言われている。

Felicaと同じような技術として「NFC」がある。Felicaに比べて処理速度がやや遅いだけなのだが、世界のスタンダードになっている。日本や香港など地域が限られるFelicaは海外では使えない。

最近になってiPhoneの「Apple Pay」にSuicaが搭載されるようになり、Suicaが海外でも使われるようになる、という指摘もあるがその可能性はまだ未知数だ。

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