「都市鉱山の開拓者」を襲った死亡事故の裏側

DOWAの銀粉工場で何があったのか

資源リサイクルによる「都市鉱山」産業のパイオニアとして技術力を誇っていたのだが(写真は2008年のDOWAの本庄工場:ロイター/アフロ)

またしても化学工場で重大事故が起こってしまった。

1月3日、「DOWAハイテック」本庄工場で排水タンクが破裂し、派遣社員2人の命が奪われた。銀粉の生産、メッキ加工に携わる同工場は、DOWAホールディングス傘下の主力拠点の1つ。ソーラーパネル向け銀粉で8割、ボタン電池用酸化銀で7割の世界シェアを握る。事故が起こったのは、その銀粉の生産工程だった。

銀粉の生産では、最終工程として排水をタンクで濃縮し、適宜、希釈した硝酸をタンク内に注入して洗浄しながら排水中の銀を回収する。タンク内の温度は摂氏80度を目安に管理されているが、何らかの原因で温度が摂氏85度に上昇。タンクののぞき窓が破裂し、窒素化合物の有毒ガスが外に吹き出した、と見られる。

作業自体は通常のプロセスであり、会社側は「過去にトラブルはなかった。プロセスも変更してない。実際に装置をセッティングしたのは社員だし、派遣社員も熟練者だった。詳しいことはわからない」としている。

原因は本社と現場の距離感?

今後の原因究明を待つほかないが、消防庁によれば、危険物施設の火災・流出事故は2004年の287件から2014年には倍以上の599件に増えた。とりわけ、近年、目立つのは、そうそうたる大企業・優良企業での事故続発だ。東ソー・南陽、三井化学・岩国大竹、日本触媒・姫路、三菱マテリアル・四日市工場。そして今回のDOWAである。

設備老朽化や団塊世代の引退=技術伝承の不安が叫ばれて久しいが、大企業"総崩れ"から透けて見えるのは、遠ざかる一方の本社と現場の距離感だろうか。

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