混迷極めるシャープ、銀行と革新機構が牽制 液晶事業めぐる最終攻防はどうなる?
2016年3月31日。シャープの5100億円ものシンジケートローン(協調融資)の返済期限だ。2015年9月末時点のシャープの手元資金は約1750億円で、破綻回避には銀行に借り換えを応諾させる必要があるが、道のりは容易でない。
前期決算で約2200億円の最終赤字を計上、経営危機に陥ったシャープに向けて、2015年6月にみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は、総額2000億円の債務株式化(DES)を実施。優先株で融資を返済するという“非常事態”を経て、財務体質は改善して危機を脱したはずだった。
が、今期も液晶事業の不振は続き、4〜9月期(中間期)の業績は、営業赤字251億円へと転落(前年同期は292億円の営業黒字)。自己資本は再び毀損した。通期は黒字計画を掲げているが、達成には黄信号が灯る。銀行からさらなる支援を引き出すためには、シャープは今後の再建策を示さなければならない。具体的なビジョンがなければ、銀行も株主に説明責任を果たせないからだ。
ジャパンディスプレイかホンハイか
シャープの高橋興三社長は2015年7月末、液晶事業の売却など、外部資本を活用した経営再建の可能性を示唆。しかし、その後は10月末に、「複数社と協議中」と語るのみで、詳細は明かされない。
事業売却・提携・統合の相手はどこか。連日報道が飛び交う中、候補に挙がるのは、官民投資ファンドの産業革新機構が出資する、液晶大手のジャパンディスプレイや有機ELパネルを手掛けるJOLED、さらに台湾のEMS大手・鴻海(ホンハイ)精密工業などだ。
特に技術の海外流出を避けたい日本政府は、革新機構を活用して支援するとの観測が広がっている。2012年、鴻海のテリー・ゴウ董事長がシャープの旧堺工場を買収したが、その後も本体出資に意欲を見せ続ける。これに対して革新機構としては、ジャパンディスプレイとJOLEDのどちらかに、シャープの液晶事業を統合させたい意向だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら