意外?大型連休の宿泊料が高い「本当の理由」 需要と供給の問題ではなかった!

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売上高48万円から発生する、料理の材料などの変動費9万6000円(=4000円×24人)は、宿泊者がいないと発生しません。発生しない費用(変動費)を実際の宿泊者に負担させる必要はありませんね。しかし、人件費などの固定費は、売上高48万円を失っても発生します(つまり、限界利益を失うと固定費を支払う原資を失うことになります)。固定費が発生している限り、限界利益を失うことは、営業利益にマイナスです。

このため、失った限界利益を按分して価格に上乗せするのです。

高くても顧客に納得してもらうために

しかし顧客には、当然ながら、このような計算をして宿泊費が高くなっているとは言えません。「お正月だから強気の価格設定だな」と心の中でつぶやき、ときに嫌悪感を抱く顧客も多いのではないでしょうか。では、旅館の主人としては、どのような説明や対応をすれば顧客に納得してもらえるでしょうか。

最善の方法は、価格以上のサービスでの「おもてなし」をすることですね。1人当たり9600円も多く利益(付加価値)をいただいているのですから、普段とは一味違うサービスを提供してはどうでしょう。

9600円のうち2000円(9600円の約20%)くらいは使って、特別な食材の料理やお酒をつけてはどうでしょうか。2000円の食材を使って提供された料理は、顧客にとって、売価で1万円くらいの価値になるでしょう。材料費比率(変動費比率)が20%と考えれば、逆算して1万円(=2000円÷20%)となるからです。

こんな施策によって、お正月期間だから高いと考えている顧客に、その値段でも価値があると感じてもらえれば、リピーターになってもらえるかもしれませんね。

さて、1人当たりの限界利益9600円からサービス向上分の2000円を差し引いた、残りが7600円となりますが、その24人分である18万2400円は、営業利益に貢献するでしょう(損益分岐点を超えていればですが……)。期間中頑張ってくれた従業員へ、感謝のしるしとして、18 万2400円の一部を臨時ボーナスとして還元してもいいですね。

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