日産「ノート」の真価 女性責任者を初起用
それだけに課されたハードルは高い。国内で日産のトップとなる年12万台の販売を計画し、「月間ランキングの上位をつねに争う車にする」(西沢常務)。日本のほか欧州など先進国市場を想定しており、世界では日産のベスト3に入る、年35万台以上の販売を計画する。
ノートは“日産らしさ”がよく出た車になっている。
HV並みの低燃費を実現したのは、過給機付きダウンサイジングエンジン。エンジンの排気量を小さくして燃費を抑えながら、過給機でトルク(回転力)を出す。欧州ではエコカーの主流の技術だが、日本の量販車では初採用になる。8月に発売した国内主力の「セレナ」には小型HVシステムを搭載しており、日産は多様なエコカー技術で勝負する。
人材の多様性(ダイバーシティ)も生かされている。ノートの商品企画責任者は、水口美絵チーフ・プロダクト・スペシャリスト(44)。日産だけでなく、国内自動車メーカーでも初の女性責任者だ。
水口氏は大学卒業後、トヨタ自動車に入社。デザイナーとして「クラウン」などの開発に携わった。10年勤めた後、退職し専業主婦となったが、2001年に日産に移った。
責任者としてこだわったのは、ユーザー視点だ。顧客からは日常生活のストーリーを聞き出し、その生活をいかに快適にできるかを考えたという。「技術的に無茶と言われても、利用者の立場から必要なことは主張した。利用者の代行が私の仕事」(水口氏)。