ソニーらしいやんちゃな組織にしたい--ソニー・根本章二R&D担当執行役《キーマンを直撃》
たとえばテレビに価値がなくて、セットトップボックスやルーターに価値がある場合も考えられます。握るべきところは握らないと、いずれは取引先から奴隷のように扱われるので真剣に考えておかなければいけない。
デジタル化といっても4Kに限らず、人間は最終的にアナログで見る。表示素子の周辺の価値は、非常に顧客獲得能力があって食いつきがいい。カメラなども含めて、もう少しマスモデルの中でできないかと思っています。
--研究開発費の規模はどの程度考えていますか。
2012年度の研究開発費は4700億円。直近のエレキ事業の収益性が厳しいのは事実なので、設計試作費といった部分は積極的に削減もしくは効率化を図り、研究開発はもう少し強化したい。
メディア技術や映像処理技術は開発費を減らしてもいいし、ストレージやディスクへの書き込みなど記録系にかなり投資してきました。しかし、今後はクラウドを考えると、ストレージやメモリなどの優先順位は下げていいだろう。一方、クラウドやコンピューティング、材料、デバイス、ディスプレイ、エナジーなどは強化したい。
--エナジー関連の事業は、他社提携や事業売却を検討中では?
バッテリー事業の投資は液晶パネルや太陽光と同じになっており、これをどうするかは別の話。たとえばスマホを使っていると、1日で充電が切れてしまう。これからクラウドとつねにつながることを考えると、もっとバッテリーパワーが欲しくなる。パワーマネジメントの技術は絶対に必要だし、これがチャージフリーになるとどんなに価値があるかと思うと想像に難くない。軍事になるかもしれないけれど、遠隔チャージなどが実現できたら、シンプルだけど非常に価値が高くなる。