今年こそ英語を本当に身に付けるための心得 TOEICの得点は実際の場面で役に立たない

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ただしTOEICのスコアに一喜一憂するだけでは、本当の英語力アップにはつながらない。前出の三木氏は「スコア取得だけが目的化し、TOEIC800点でも英語を話せない人が多い」と指摘する。社内では海外赴任の対象者に該当するにもかかわらず、会話ができないため内弁慶になって海外出張や赴任を避けてしまう人もいる。人事部は、こうした英語の“ペーパードライバー”に手を焼き始めている。

今年こそは苦手な英語をモノにしたいものです(写真:kou / PIXTA)

TOEICで身につけた英語力を実践で使うには、トレーニングを積み重ねるしかない。英会話学校やスカイプを使ったオンライン英会話サービスを利用するだけでなく、海外ドラマや無料動画をチェックしてネイティブ同志の英語を聴くだけでも“英語耳”に慣れてくる。

日本在住40年以上の早稲田大学のジェームズ・M・バーダマン教授は、「2000単語を覚えれば、気持ちを伝えることができる。英語を使う目的をはっきりとさせて、目的に合った言葉を選んで覚えたらいい」とアドバイスする。職場内や取引先との打ち合わせ、プレゼンテーションなど人によって英語を使うシーンは異なる。交渉や打ち合わせに備えて、数字の基本や会計英語なども抑えておきたい。

意外と知らない英語の丁寧語

メールでもちょっとしたコツがある。英語には敬語がないと思われがちだが、「表現次第でいくらでも丁寧に“格上げ”することができる」と『英語のお手本』の著者マヤ・バーダマンさんは解説する。たとえば「知らせる、伝える、提示する」は、「say/tell/let X know」よりも「announce/inform/present」に置き換えると丁寧になる。こうしたテクニックを使うと、メールの好感度をアップさせることができる。

一般的に日本人の英語力は低いとみられがちだが、世界と比較すると標準的な水準に属する(EF EPI2015年ランキング)。東京に限ると1ランク上の「高い能力レベル」となり、実はシンガポールやマレーシア、インドと同水準だ。にもかかわらず英語コンプレックスを抱えてしまうのは、会話経験の少なさが影響しているのかもしれない。

2020年に向けて外国人観光客の増加が予想される中、国内でも英語を話す機会は増えている。街で困っている外国人に声をかけて道案内をしたり、居酒屋で注文や支払いの仕方を教えるだけでも英会話のトレーニングになる。今年こそ自分に合った学習方法を見つけ、本当に使える英語力を身につけたい。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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