スマホ出遅れのソニー、1000人リストラの狙い
電話、パソコン、カメラ、ゲーム、カーナビ--。さまざまな製品の機能を一つの端末に搭載するスマートフォン。世界的な需要拡大の波に乗り、米アップル、韓国サムソン電子の”二大巨頭”が世界で快走する中、世界シェア2%程度と出遅れ組のソニーがまるで存在感を発揮していない。
ソニーは8月23日、携帯電話子会社ソニーモバイルコミュニケーションの事業体制見直しを発表した。ソニーモバイルの全従業員15%に相当する1000人(従業員650人、派遣社員350人)を削減する計画だ。
対象者の多くはソニーモバイルが本社を置くルンド(スウェーデン)が対象となる。ルンドはソフトウエアやアプリの開発に注力し、本社機能を東京へ移すという。今回のリストラは、ソニーがすでに表明している「2012年度・1万人削減計画」に織り込まれている。
ソニーは今年2月、英エリクソンとの合弁会社だったソニー・エリクソン(現ソニーモバイル)を完全子会社化。以来、ソニーモバイルを“ソニー色”に染めるべく改革を進めてきた。4月からはソニー執行役EVPの鈴木國正氏がソニーモバイルの社長兼CEOを兼任。スマホはタブレットやパソコンなどと一緒に重要なモバイル事業の1つだ。
ただ、実はスマホの世界的な普及は、ソニーのビジネスに打撃を与えている。直近の2012年4~6月期時点で、ソニーはコンパクトデジタルカメラの今期販売計画を従来の2100万台から1800万台に、携帯ゲーム機は同1600万台から1200万台へと下方修正した。カメラやゲームの機能を搭載するスマホの広がりが、専用製品の市場を侵食しているのだ。
一方で、ソニーはスマホの市場拡大に恩恵をあまり受けていない。ソニーはスマホの販売計画を上方修正しているが、期初計画3330万台を3400万台に上げた程度で“誤差”の範囲。しかもソニーモバイルは、円高の影響や欧州の景気悪化を受けて、今12年4~6月期は赤字計上するなど厳しい状況にある。