英雄神話が持つ魅力は、なぜ色褪せないのか

ルーカスも影響を受けた「千の顔を持つ英雄」

ヘラクレス、ブッダ……なぜ、人は英雄たちの姿に引きつけられるのか(写真 : digi009 / PIXTA)

はたして、英雄に引きつけられない人がいるだろうか?

といえば、もちろんいるにはいるのだろうが、大抵の場合英雄とはあこがれ、理想的な対象として存在している。神話におけるヘラクレス、あるいは仏教におけるブッダ、アーサー王にイエス・キリスト。神話クラスの人間でなくとも数十数百といった年数を語り継がれてきた民間伝承やお伽話には数限りなく人間の弱さを克服し前に進む英雄の姿が描かれている。

人が英雄に引きつけられる理由とは?

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個々の作品に対する好悪や、英雄が理想像であるかどうかは人によってさまざまとしても、それらは多くの人間を引きつけてやまないからこそ生き残り続けてきたのだ。しかしなぜ、どのような理由が人を英雄に引きつけるのだろう。そこには数式のようにきっちりとしたものではないにしても、普遍コードのような物が存在しているのであろうか。

本書『千の顔を持つ英雄』は、スター・ウォーズの生みの親ジョージ・ルーカスがその著作に影響を受けていることを表明するなど世界中のクリエイターに影響を与えてきた神話学の専門家ジョーゼフ・キャンベルによる代表作である。その内容は、膨大な物語群を通してそこに通底する象徴の在り方、類例を提示し、本人の言を借りれば『あまり難しくない例をたくさん提示して本来の意味が自然とわかるようにし、その上で、私たちのために宗教上の人物や神話に出てくる人物の形に変えられてしまった真実を、明らかにすることである。』ことを目的とした一冊だ。

原書刊行は1949年、日本に翻訳されたのは1984年と翻訳版からも30年以上の月日が経過しているが今回新訳で登場。数千年の時を超えた神話の比較研究という本書の特性上その古さは本書の価値をまったく損ねず、今読んでも各種英雄についての変わらぬ知見を与えてくれる。

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