日経とFT取り合った独巨大メディアの正体 老舗アクセル・シュプリンガー変貌の軌跡

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ビルトと言えばドイツを代表するメディアの1つでありブランドだ。そのスタッフに失敗を恐れぬ挑戦をするよう説得するのが、最初にぶつかった困難だったと彼は言う。

ビルトのデジタル版の有料購読者は約30万人で、紙版の購読者数(220万人)と比べればまだずっと少ない。それでも同紙では、増えつつあるスマートフォン経由の読者やソーシャルメディア経由で記事を読む読者に対応するため、ネット向け投資を最優先課題にしている。

読まれるのが紙面かネットかは問題ではない

「われわれはこれまで、印刷とネットの垣根を取り払ってきた」と、ビルトの幹部の1人、ドナタ・ホプフェン(39)は言う。「ビルトはビルトだ。できあがったコンテンツを、それぞれの媒体が必要に応じて選ぶことになる」。

同様のネット向けの改革はアクセル・シュプリンガー傘下のもう1つの大新聞、ディ・ベルトでも始まっている。ディ・ベルトの編集部は先ごろ、24時間放送のテレビ局N24(14年にアクセル・シュプリンガーが買収)と合併し、ベルトN24と名前を変えた。

「自分たちの記事を多くの人に読んでもらいたいし、それが紙面でなのか、ネットでなのか、テレビでなのかはどうでもいい」と言うのは、ベルトN24のヤンエリック・ピータース編集長(50)は言う。

ピータースはこの1月から、アクセル・シュプリンガーがサムスン電子と組んで開発してきた新しい携帯電話向けニュース・アグリゲーション・サービスのアップデーの最高製品責任者を務める。

このサービスでは複数のアルゴリズムを使い、ユーザーのニュースの読み方を追跡し、ネット中のコンテンツをそれぞれの人に合わせて提示する。

ピータースらによれば、数年前であればアクセル・シュプリンガーの経営幹部がアップデーのようなネット専用プロジェクトを承認することは考えにくかったという。「マティアス(・デップナー)が当時、自分がどれほど過激に社風を変えようとしているか認識していたかどうかは分からない」とディークマンは言う。「だが今となっては、みんなにすっかり伝染している」。

(執筆:Nicola Clark記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2015 New York Times News Service
 

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