日経によるFT電撃買収は、うまくいくのか

わずか2カ月で大型買収を決めた事情とは?

英高級紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を買収するのが日本経済新聞社だった、というニュースにイギリスのジャーナリズム周辺は騒然としている。

それは、「まさか日本の新聞が買うとは!」という反応である。この日、どこかがフィナンシャル・タイムズを買収するという記事はあちこちに出てはいたが、どの報道も日本の新聞は想定外だった。プレスリリースや記事を何度か読み直さないと、その事実が頭に入ってこないぐらい、あっと驚く買収劇だった。

プレスリリースや日経を含む数紙の報道によると、今回の買収の概要は次のようなものだ。

上のビデオはロイターによる報道

英出版大手ピアソンは、傘下のフィナンシャル・タイムズを発行するフィナンシャル・タイムズ・グループを日経に売却することを決定。金額は8億4440万ポンド(約1620億円)。「日本のメディア企業による海外企業の買収案件として過去最大」(日経)で、「読者数では世界最大の経済メディア」(同)となる。

日経によれば、買収の目的は「メディアブランドとして世界屈指の価値を持つFTを日経グループに組み入れ、グローバル報道の充実をめざすとともに、デジタル事業など成長戦略を推進する」である。

「グローバル企業の一部になることがFT成功の道」

ピアソン側のFT売却の理由は、「私たちは、モバイルとソーシャルが中心となる、メディアの転換期にいる」、FTの「ジャーナリズムや商業的成功にとって最善なのは、グローバルなデジタル・ニュース企業の一部になることだ」(ピアソンCEOジョン・ファロン氏)。

このオフィスビルは買収対象に含まれない

今回の買収には、フィナンシャル・タイムズ・グループの中にあって、ピアソンが50%出資する世界最大規模の経済誌「エコノミスト」や、ロンドンにあるFTのオフィス自体は含まれていない。「バンカー」「インベスター・クロニクル」などの媒体は買収対象に含まれている。

ピアソンによると、FTグループは昨年の決算で、3億3400万ポンドの売り上げと2400万ポンドの営業収益を生み出している。激変するメディア界にあって、ちゃんと稼ぐことができている会社だ。日経による買収金額は35年分の営業利益相当であり、今後の利益成長を見込めば、決して高すぎるような買い物ではないだろう。

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