トヨタ直伝で無駄を排除、驚きのカイゼン効果、脱サラ農家が急成長《農業を変えるビジネス革命》

トヨタ生産方式(TPS)を農業に導入し、その生産性を改善できないか。こんな試みが2006~08年に行われた。

プロジェクトは日本経済団体連合会とJAグループの非公式な勉強会からスタート。モデル農家に実際にトヨタ自動車がアドバイスを行うことが決まり、茨城県つくば市のベビーリーフ農家、木村誠さん(46)の農場が対象に選ばれた。ベビーリーフは生育が早く、年に何度も収穫できる。そのためカイゼン効果を測りやすいことも理由の一つだ。

06年11月、トヨタの張富士夫会長と林南八技監らが木村さんのビニールハウスにやってきた。ともにTPSの世界的権威だ。林技監はハウスを一瞥するなり、質問を投げかけた。「畝間が何本もありますね。このすき間に種をまけば収穫量が2~3割アップするのではありませんか」。

畝間とは液肥をまいたり収穫したりするための通路。なくすなど考えたこともなかった。「通路がないと作業できない」と木村さんが反論すると、林技監はこう答えた。「空中を有効に使いなさい。天井に滑車をつけて、収穫物はコンテナで運び、液肥はパイプを使ってまけばよい」。

ほかにも、「ハウスの壁を着脱可能にしてトラクターがハウスの外でUターンすれば、壁ぎりぎりまで種がまける」「ハウス内の農具スペースも無駄。農具は外に保管すべき」など、さまざまな指摘があった。

張会長からは、「なぜ農作物の成育にバラツキがあるのか」という質問が出た。自動車なら品質のバラツキは許されない。ハウスの敷地を300に細分し土壌を採取して分析したところ、土に含まれる水分量にバラツキがあり成育に影響を与えていることがわかった。木村さんは早速、水のまき方の改善に取り組んだ。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 埼玉のナゾ
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。