リクルート株上場なら、いくらの含み益? 保有各社の皮算用

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 表によれば、いずれも取得価格は数十億円から100億円台。1株当たり株価を見ると、大日本印刷などは取得時期が94年のため(その後順次買い増し)、2000~3000円台と低い。一方、電通や日本テレビなどのテレビ局・広告代理店は、07年から08年にかけてリクルートと互いに持ち合う形で取得しており、一律9000円になっている。

来期、リクルート株が上場すれば、当然、各社ともに多額の含み益を持つことになる。市場関係者によれば、時価総額は1兆円になるとも見られており、リクルートの現在の発行済み株数6013万株で割れば、単純計算で1株1万6631円だ。新株発行を伴うため、実際にはもう少し低くなる可能性はあるが、1割増資したとしても、1万5119円。今の簿価よりは相当高い。各社とも多額の含み益になる計算だ。株数も多く、政策的に保有していることから、すぐ市場で売却することはないと思われるが、各社の財政を相当潤すのは間違いない。

かつてのリクルート事件は、グループ会社である旧リクルートコスモス(現コスモスイニシア)の未公開株を、政界・財界関係者にばらまいたことが発端になった。事件の教訓から、リクルートは自社株の扱いについては極めてナーバスだ。しかし、株式市場が長く閉塞感で包まれている昨今、リクルート株上場に期待する市場関係者は多く、大きな起爆剤になる可能性も秘めている。

週刊東洋経済2012年8月25日号(8月20日発売)では、リクルートの真実を徹底レポートしている。

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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