国内カラオケ市場飽和でもボーカロイド、K−POPなどの独自配信で差別化する--日野洋一・鉄人化計画社長

たとえば、JASRAC(日本音楽著作権協会)に年間登録される新曲は約10万曲。そのうち新譜としてカラオケメーカーが採用するのは10分の1もない。残りの9割以上はカラオケとして歌われることなく放置されている。メーカーが配信するのはヒット曲が中心であり、マスマーケット向けの楽曲を優先的に採用している。

しかし、今の時代は趣味が多様化している。99人が知らなくても、1人がある特定のジャンルに興味を持つファン、ということもある。当社の戦略は、そうした特定ジャンルの曲を含めて提供楽曲数を最大化していくこと。メーカーからはコマンダー(通信カラオケ機器本体)を通じてマスマーケット向けの音源を大量に供給してもらいつつ、メーカーがカバーしていない特定ジャンルについては、コアのファン向けにオリジナルに音源を開発し配信していく。そのプラスアルファの部分で、メーカーの配信にほぼ依存している他のオペレーターとの差別化を図る。

音楽のジャンルは国内で500程度。そのうちカラオケファンが実際に存在すると当社の調査で確認できたのが250ジャンル。そうしたジャンルのマーケットは、非常に小さいながらも確実に存在する。極端な例だと、「校歌」についても、当社の出店エリアにある千葉県の中学校などまで含めて、音源を作り配信している。校歌はそこの生徒かOBしか歌わないし、その中でのカラオケファンとなると、マーケットはむちゃくちゃ小さい。メーカーが全国すべての学校の校歌を配信しようとしても、音源をまともに作るとコストがものすごくかかる。

--メーカーでさえコストがかかるといって開発しない曲を、オリジナル配信できる秘密は?

それがうちのビジネスモデル。全カラオケファンの8割が求めるのが、マスマーケット向けのヒット曲。彼らが歌うのは昔の歌謡曲や、最近のヒット曲、ビートルズなどが中心で、あえてカラオケの鉄人に来なくても、同業他店のどこでも歌えるので差別化する必要がない。

一方、アニソン、ボーカロイド、K−POP、さらには出身校の校歌など本当に細かいジャンルについては、その曲が1曲あるかないかでカラオケ店の選択基準を変える、といった層が2割ぐらいいる。われわれがターゲティングし、ブランディングしているのはそこだ。8割のマスマーケットは当然カバーしたうえで、残り2割のお客様をコアのターゲットとして位置付けている。彼らはカラオケ店を選択する際のオピニオンリーダーでもある。たとえば5人でカラオケに行こうと集まったとき、「自分はカラオケの鉄人でなきゃいやだ」という人が1人いると、他の4人はどこの店でも構わないので、うちを選んでもらえる。

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