【キーマンを直撃】リストラはやりたくないが生き残りには避けて通れない--SUMCO瀧井副社長

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■今の価格では再投資は難しい

--業績の悪化を受けて生産能力や人員の削減に着手しました。

再編による生産集約で、固定費だけでなく製造原価も下がります。業界全体のオーバーキャパの解消にもつながる。モノが足りなくなってくれば価格は戻る。これ以上、価格を下げてシェアを拡大することはありません。もちろん今のシェアを守るためには、一定程度は戦います。しかし、今は価格が再投資不可能な水準まで下がっている。半導体業界全体で需要が拡大するといっても、それにつれて能力を拡大することは難しい。

--今回、希望退職を募集していますが、今後、従業員のモチベーションを保つのも大きな経営課題です。

数字は達成目標ではありませんが、2月時点で連結人員の15%である約1300人を対象に要員施策を実施すると表明しました。今回は突然のことで、従業員はこの事態を理解できないと思います。人心が乱れるかもしれない。しかし、公表はしませんが、退職者には再就職の条件などでできるだけのことをするつもりです。その代わり、残った人がしっかりと再生してほしいと思っています。本当はリストラをやりたくないが、そうしないと生き残れません。

--競合である信越化学もシリコンウエハの収益性は下がりましたが、それでもSUMCOよりは稼いでいる印象です。

信越化学は減価償却を早く済ませたということがある。また、取引先の違いも要因かもしれません。

--半導体シリコンウエハ市場は、今後も伸びていくんでしょうか。
 
 短期的には小口径のタイプが減り、大口径が増えるという個別要因はありますが。長期的なトレンドでみると、半導体シリコンウエハは世界のGDP(国内総生産)に比例しています。5年後に向けて、年間2%ずつは増える。最低でも。総面積で10%は拡大するということです。ただ、短期的にみると変動は大きいということには注意が必要です。

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