バスでも“ハイブリッド戦争”、ガチンコ対決するいすゞと日野の複雑な関係
トヨタ自動車の「プリウス」をはじめとする、ハイブリッド車(HV)が快走する国内乗用車市場。エンジンとモーターを併用して走るハイブリッド車は、燃費性能に優れ環境にも優しい。国内乗用車市場はトップランナーのトヨタをホンダ、日産自動車などが追いかける“ハイブリッド戦争“真っ盛りだ。
その波が大型路線バス市場にも及び始めた。真っ向勝負するのは、商用車大手の日野自動車といすゞ自動車である。
いすゞは8月9日、ハイブリッド仕様の大型路線バス「エルガハイブリッド」(=写真=)を発売した。いすゞは2005年発売の小型トラック「エルフハイブリッド」で、すでに商用HVの分野に参入しているが、大型路線バスにHV仕様を設定するのは初めてとなる。
いすゞが意識するのは、トヨタ系の日野自動車。日野は20年以上前からHVバスを手掛けている。10年6月には、最新仕様のHVバス「日野ブルーリボンシティ ハイブリッド」を発売し、都市部を中心に販売を伸ばしている。
日野のHVバスは12年6月までに累計795台を売っている。これまで日野の独壇場だった分野に、国内市場でガチンコ勝負を繰り広げてきた最大のライバル、いすゞが殴り込みをかける構図である。競争が激化するのは必至だろう。
ただ、実はいすゞと日野は、バスの分野では協力し合う仲でもある。両社は折半出資でバス製造会社「ジェイ・バス」を設立。04年10月以降は、ジェイ・バスがいすゞ、日野それぞれのブランドのバスを生産しているのだ。