客だます良心なき業界を憂う タビオ会長・越智直正氏①

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おち・なおまさ 1939年生まれ。中卒後、大阪の靴下問屋にでっち奉公。68年に独立、靴下卸売業ダン(現タビオ)を創業し社長に。2000年大証2部に上場。02年英ロンドンに海外初となる店舗を開く。靴下の企画・卸・小売りで業界大手の座に就く。08年会長。

中学を出て、靴下問屋にでっち奉公をして以来、わしは靴下のことしか知りません。酒は飲めませんが、「人生、靴下に酔いっぱなしやな」と妻から冗談を言われるぐらい、靴下にのめり込んできました。

奉公先の問屋を突然クビになったのが28歳。ほかに選択肢もないまま、独立・創業せざるをえませんでした。そのとき、理想に掲げた言葉があります。「業界の良心たれ」「良品を適正価格で」「正義とともに発展する」。弱小企業の創業者としては、あまりにも高すぎる理想やとわかってましたが、それでもこの心意気でこれまでやってきたんです。

しかし、そんな理想はアホちゃうんか、と自問自答してしまうほど、最近の業界は狂っています。商売人がお客をバカにして、品質が悪いものを低価格で売ることが横行している。まるで、「(あんたら客は)貧乏人やから、それでええんや」と言わんばかりの低品質、低価格競争ばかりになっています。

靴下は「第二の皮膚にならんとあかん」

いや、最初から価格競争ではありまへんな。800円で売るべき品質のものを、700円で売っていこうというのが本当の競争ですわ。でも今は違う。見掛けは800円のものを300円以下の品質で堂々と出してきて、「どや、安いやろ」と300円で販売している。これでは、競争なんかにちっともならんのです。

 商売人は自分が持っている力を振り絞ってよいものを作り、あるいは探してきてお客に提供してこそ、商売人たりうるんですわ。今の商売人は恥も外聞もないんちゃいますか。

悲しいですわ。日本人が日本のよさを知らないなんて。靴下は「第二の皮膚にならんとあかん」というのが持論です。そのために、奈良県にある協力工場と一緒に品質向上に努め、よいものを適正な価格で提供してきました。

ところが、業界ではハイレベルの国内の工場にサンプルだけ作らせ、それをそのまま海外工場に持っていって作らせる。品質? そんなん、彼らに関係ありますかいな。わしは高品質なものは日本でしか作れないと確信してます。3本の糸で作っているのか、2本で作っているのかわからない、海外にはそんな工場長さえおるんですよ。

先日、ある奈良の工場が得意先にファクス1枚送りつけて閉鎖しました。仁義もへったくれもない取引先への怒りを込めた抗議です。いかに儲けるかだけを考え、お客をバカにした商品を売る。これは、どこの業界でも蔓延しているんと違いますかね。

週刊東洋経済編集部
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