ゲーミフィケーションで働き方が変わる!

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 情報共有では営業部門がメリットを享受している。「太陽光発電システムの販売に力を入れているが、自治体によって補助金制度などが異なっている。情報をキャッチした社員が投稿することで最新情報を共有できるようになった。ほかの社員からも感謝されるため、率先して書き込む社員も多い」(野口室長)。役に立つ情報を発信すればチームメンバーから感謝される──。ここにも素朴なゲーミフィケーションが埋め込まれているわけだ。

前述の楽天、NTTデータとは異なり、三州野安の場合はチャターの社員利用率は100%。行動予定の入力など「社員としてやらなければいけないこと」が組み込まれているためだ。基幹業務もSNSも同じベンダーのプラットフォームを使っており、一つのIDでログインできる点も利用を促進している。

野口社長のSNS活用は閲覧専門。自分では書き込みをしない。「工場の歩留まり情報、クレーム情報には頻繁に目を通している。何か問題を見つけたら担当者に電話をしている。文章を打ち込むよりも電話をしたほうが早いから」。つまり、社長の叱責がSNSを通じて社員全員に公開されるわけではない。

企業内SNSには社員の行動履歴が蓄積されていくため、経営に役立つ情報の宝庫だ。現在、検討しているのが、複数のデータのクロス集計。「営業担当者の得意先への訪問日と得意先が発注した日、発注数量などをひも付けして分析すれば、もっと頻繁に行くべきなのか、どのような提案をするべきなのか、といった対策が見えてくるかもしれない」(野口室長)。

自社保有システムをクラウド化したことをきっかけに、業務革新の連鎖が始まっている。

(島田知穂、二階堂遼馬、山田俊浩、福田恵介 =週刊東洋経済2012年7月21日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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