ゲーミフィケーションで働き方が変わる!
しかし、11年3月に東日本大震災が発生。環境は冷え込んだ。4月、新子明希社長はベトナムへ行った際に、決断をした。「ここは無理して売り上げを伸ばすのではなく、会社の土台を固めるとき。社員数も急増している。明確な経営理念が必要だし、新しいマネジメントの仕組みを作ろう」。
そこで生まれたのが、行動指針(バリュー)を策定し、それに合わせて社員同士がバッジと呼ばれる特典をやり取りする「CIMOS」だ。独特なウェブサイトづくりで知られる「面白法人カヤック」との共同作業で生まれた。
CIMOSの仕組みはシンプルだ。メンバー(一般社員)は月に20個、役職者は月に40個まで他の社員にバッジを渡すことができる。第1の行動指針「顧客に驚きと衝撃を」に該当するのがサンクスバッジ、第2の行動指針に「先に与える。常に与える」に該当するのがスマイルバッジ、という具合。同じ種類のバッジが10個集まるとメダルになる。どのようなバッジをもらっているかを見れば、その社員の個性もわかる。
バッジの獲得状況はホームページに公開されており、取引先や家族などものぞくことが可能だ。フェイスブックから、社員以外の人がバッジを渡せる仕組みもある。社員はフェイスブックからコメントを投稿したり、バッジ獲得状況のチェックができる。
バッジは精神論では終わらない。半期に一度、給与に反映されるのだ。メダル一つにつき月額1000円の昇給になる(二つ目のメダルからは500円、顧客感動メダルだけは3000円)。営業系の企業であり、給与計算の基本は成績連動。昇給効果がそれほど大きいわけではないが、「バッジ獲得は遊びではなく仕事である」ことを示すためのスパイスだ。
このCIMOSは、社内で徹底的に使いこなし機能を磨き上げた後に、13年5月から外販する予定。トライフィールコレクションとは異なるもう一つの事業の柱とし、14年の株式上場を目指していく。「小さな企業はもちろんのこと、従業員数万人規模の企業からも問い合わせがあった。引き合いが多くて、正直驚いている」と新子社長。
社員のモチベーションを引き上げるゲーミフィケーション。企業の関心は、確実に高まっているようだ。