《ミドルのための実践的戦略思考》「PDCA」で読み解く大手損害保険会社インド現地法人営業担当部長・浜村の悩み
■PDCAサイクルの発展版「LAMDAサイクル」
その時、ミドルリーダーが心がけるべきことは何でしょうか。
ここで、PDCAサイクルの「発展版」として、LAMDAサイクルという概念を紹介したいと思います。このサイクルは、MITにてトヨタ製品開発を参考に「リーン生産方式」を体系化したアレン・ウォード博士によって開発されたものです。
LAMDA(Look−Ask−Model−Discuss−Act)サイクル
このサイクルにおいて伝えていることは、まず現場を見て、その真相を問いかけることにより、背後に潜むメカニズムを理解するということ。そして、理解したことをシンプルにモデル化(試作品や見本、グラフ、報告書など具体的に目に見える形に変換)して表現し、その“叩き台”をベースに議論を始め、意思決定を行う、ということです。言っていることは極めてPDCAに似ていますが、このサイクルにPDCAサイクルのスピードを速めるヒントが隠されています。
LAMDAサイクルとPDCAサイクルの比較を端的に言うと、以下のポイントに集約できます。
・ 机上で考える前に現場に赴いて「現地現物」を確認すること
・ 一人で考えるのではなく、他者との「双方向コミュニケーション」を通じて問題の所在を明確にすること
・ 抽象的に考えるのではなく、無理矢理でもいいのでサービスや商品を具体的な「プロトタイプ化」すること
・ その具体的なプロトタイプに対する他者(含む顧客)からの「フィードバックを吸収」し、知恵として取り込むこと
つまり、PDCAの裏側に「現地現物」「双方向コミュニケーション」「プロトタイプ化」「フィードバックの吸収」という4つの行動原則をセットで持つことが、現場のミドルリーダーにとってより効果的なPDCAの実現につながると言えるでしょう。