キヤノンがついにミラーレス一眼デジカメ参入、カメラ王者の皮算用
過去最大の広告を展開
ミラーレスは市場を切り開いたオリンパスやパナソニックをはじめ、ソニー、ニコンなどライバルが先行するが、「どうせ出すならば、よいものを出したいと思っていた。最後発になってしまったが、まだまだ追いつけると思う」と佐々木氏は自信を見せる。
実際、キヤノンはコンパクトでも、後発ながらトップシェアに上り詰めた実績がある。「キヤノンは市場の動向を見極めてから発売する“後出しじゃんけん”で成功してきた会社。今回も圧倒的なブランド力で他社のシェアを奪えると判断したのではないか」と調査会社テクノ・システム・リサーチの大森鉄男氏は分析する。
キヤノンが世界シェア5割を握る一眼レフとのカニバリゼーション(市場の食い合い)を懸念する声もあるが、「ミラーレスは20代の若者向け、一眼レフはファミリー層が中心」(佐々木氏)とすみ分けを図る。一眼レフ市場は08年のミラーレス登場後も、悪影響がそれほど出ていない。キヤノンも一眼レフの販売が好調で、12年の国内販売台数を前年比約3割増と見込んでいる。
キヤノンはEOS Mの発売により、国内ミラーレス市場で下半期(7~12月)のシェア11%、13年は年間30%、という強気の目標を掲げる。9月の発売に合わせて過去最大の広告を打つ予定であるほか、購入者限定の写真講座を開講するなど、顧客の取り込みに余念がない。
「ミラーレス市場が拡大するプラスの面もあるが、競争の激化は必至」と競合メーカーの関係者は期待と不安を口にする。満を持してミラーレスを送り出すキヤノン。カメラ最大手の実力を見せつけることができるだろうか。
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(本誌:島 大輔 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年8月4日号)
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