健康志向に乗りアウトドアなどパーソナル向け成長、五輪は裏方で選手を支援する--西田明男・ゴールドウイン社長

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グルノーブル冬季五輪(68年)で大活躍したフランスのジャン・クロード・キリー選手もフザルプのウエアを身に着けていた。札幌冬季五輪(72年開催)を目がけて海外一流ブランドを導入したいと考え、フザルプとの提携にこぎ着けた。それをきっかけに当社のライセンスビジネスが大きなスタートを切った。

フザルプは世界トップクラスのブランドだったため、日本国内でも4~5年でものすごく成功した。それにもう一段足そうということで、同じスキーというジャンルでフザルプと世界1、2位を争っていたイタリアの「エレッセ」との契約にこぎ着けた。今だからこそ明かせるが、フザルプのほうから「競合するブランドを扱うとは何事か。すぐに契約解除だ」とまで言われた。そこで急きょ別会社を設立してエレッセを導入する形にした。

ゴールドウインはその当時、スキー分野で世界のトップを争っていた2つのブランドを、貪欲に日本国内に導入するということをなし遂げたわけだ。エレッセも人気を博して勢いをつけていったことから、“マルチブランド”がベストと考えた。アメリカのアスレチックブランドの「チャンピオン」や、アウトドアブランドの「ザ・ノース・フェイス」など、競合しないブランドを次から次へとそろえていき、気がついたらそれぞれの領域の中で世界のトップブランドを扱っているという状況ができた。それがゴールドウインのマルチブランド戦略の始まりだ。

■ライセンス元の企業よりブランドの中身を理解している例も

今になってみると、各ブランドはスキー、アウトドア、アスレチックという領域をオリジンとして持っていたものの、それぞれがオーバーラップする形で展開領域を広げてきている。スポーツの領域の中でさまざまなブランドをうまく配置しながらマルチブランドを展開しているわけで、いろいろなブランドを導入するたびに、そのブランドにあこがれる人が当社に入社してくる。スキー、テニス、アスレチックとそれぞれのブランドのファンの人が入ってきて、ゴールドウインという会社の社員ながら、それぞれのブランドと一体になっているような感じだ。

最近ではオリジナルのブランドは本国に残っていても、そのブランドを持つ会社が(M&Aなどで)変わってしまっていることもある。ゴールドウインの担当者のほうがそれぞれのブランドについて長くかかわっていて、ライセンス元の会社よりも、ブランドのコンセプトや将来性を深く考え、継続的にブランドイメージを維持・管理しているといったケースも少なくないと思う。なお、ライセンスで始めたブランドの中でも、ザ・ノース・フェイスやエレッセなどについては、日本国内市場などに限定した形ながら、当社が商標権を買い取っている。

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